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「次世代デジタルインフラと日本の持続的成長との架け橋となる」ウェスト社長、鈴木会長らが説明

シスコ2020年度戦略、日本のデジタル化と成長を促す投資も

2019年10月10日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 シスコシステムズ 日本法人は2019年10月8日、2020年度(2019年8月~2020年7月期)の事業戦略説明会を開催した。同社 社長のデイヴ・ウェスト氏は、昨年度(2019年度)の事業を振り返り、新年度は「次世代デジタルインフラと日本の持続的成長との架け橋となる」ことを目標として“3つの重点戦略”に取り組むと述べた。

 また会長の鈴木和洋氏は、日本企業と日本社会のデジタル化を促すために「カントリーデジタイゼーション」に取り組むと述べ、取り組みの具体的な内容を説明した。

ウェスト氏が示したシスコ日本法人としての方針
シスコシステムズ 代表執行役員社長のデイヴ・ウェスト(Dave West)氏シスコシステムズ 代表施行役員会長の鈴木和洋氏

2020年度の重要戦略は「顧客関係の深化」「日本のデジタル化」「包括的エクスペリエンス」

 ウェスト氏はまず、昨年度(2019年度)の事業戦略説明会で掲げた“3つの重点戦略”を振り返り、それぞれの戦略領域におけるシスコキャパンでの事業成果を紹介した。

シスコ日本法人における2019年度の事業ハイライト

 「顧客/パートナー向け施策」領域では、セグメント化された各業界(通信事業者、エンタープライズ、法人、公共)において顧客やパートナーと「深く、密接に関わることができた」と述べ、全セグメントの担当営業部門において事業成長を実現したことを報告した。他方ではSMB・デジタル事業開発担当部門を新設し、デジタルマーケティングを通じた中小企業へのソリューション提案と販売を強化した。

 「社会イノベーション」領域では、2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会に対するネットワークソリューション支援のほか、ツーリズム、トラベル&トランスポーテーションへの取り組みとして、京都府や日本橋における地域連携でのスマートシティ実証実験、JR東日本「モビリティ変革コンソーシアム」への参画などに触れた。

 エコシステム拡充を目指す「エコパートナーシップ」領域では、新たにソニーやリコー、日立製作所とのパートナーシップに基づくソリューションを提供開始している。このうち10月7日に発表したリコーとの協業ソリューションは、リコーの複合機とシスコのWi-Fiソリューション「Cisco Meraki」を連携させるもの。IT専任担当者のいない中小企業向けに、両者の使用状況(複合機の印刷枚数や消耗品状況、ネットワーク帯域量など)を単一ダッシュボードで可視化するほか、来訪客向けのゲストWi-Fiアカウントを複合機の操作パネルから簡単に設定できるようにする。またソニーとはWebexビデオ会議ソリューション、また日立とはだコンバージドインフラソリューションでそれぞれ協業している。

 続いてウェスト氏は、2020年度の新たな重点戦略を紹介していった。まずその基本方針について、次のように語っている。

 「シスコジャパンチームとして、顧客に次世代デジタルインフラ(製品)を届けるだけでなく、日本の持続的な成長をドライブさせる役割を果たすために、われわれは“架け橋”になりたい。われわれがビジネスのデジタル化を実現するプラットフォームを提供することで、われわれの顧客は市場競争力を増し、イノベーションを起こす能力を持ち、効果的に戦えるようになり、市場成長を成長を牽引するようになる」(ウェスト氏)

2020年度の重点戦略。昨年度の取り組みを引き継ぎつつ、より包括的なテーマを掲げる

 戦略の1つめとしてウェスト氏は、「顧客/パートナーとのさらなる関係性の深化」を挙げた。前述したとおり、シスコではすでに顧客業界ごとの営業アプローチをとっているが、「各セグメントにおける顧客/パートナーニーズの理解をさらに深め、ビジネスのデジタル化を支援していく」(ウェスト氏)。

 2つめが「日本のデジタイゼーション(デジタル化)」だ。これは企業ビジネスだけでなく、広範な社会全体のデジタル化推進を指している。2020年夏開催の東京オリンピック・パラリンピックだけでなく、政府が提唱する「Society 5.0」実現にフォーカスし、持続的な成長を積極的に支援していく。中でも特にツーリズム、トラベル&トランスポーテーション、インダストリー4.0、デジタルワークプレイス(特に中小企業のデジタル化)、パブリックセキュリティといった領域への取り組みを強化していく。また5Gの取り組みについても、企業やパートナー、サービスプロバイダー、政府にとって最重要課題になっており、シスコは「5G領域のリーダー」として、次世代の5Gアーキテクチャを提供していくと述べた。

 最後が「ライフサイクル全体のエクスペリエンス」の提供である。ウェスト氏は、「シスコ製品を購入しいただけるのはもちろんうれしいことだが、それ以上に、顧客がそのテクノロジーをフルに使いこなし、最大限の価値を引き出していただけることがわれわれの喜びだ」と語る。そのために、シスコ製品の持つ能力、機能、そしてイノベーションによるアドバンテージを十分に活用できる、ライフサイクル全体におよぶエクスペリエンスの提供を進めていくとした。

 そしてこうした戦略を実現するために、製品面においてはさまざまな製品間の連携強化で「マルチドメインの統合アーキテクチャ」を構築し、提供していく。これによりサービスプロバイダーでもエンタープライズでも、さらには中小企業においても、シスコの提供するイノベーションと次世代の能力を手に入れ、活用し、アドバンテージを得ていくことができるようになると、ウェスト氏は説明した。

中長期の成長戦略、「日本のデジタル化」支援でターゲット市場を拡大

 ウェスト氏は2020年度戦略のひとつとして「日本のデジタイゼーション」を挙げたが、続いて会長の鈴木氏が、シスコがグローバルで展開する戦略投資プログラム「カントリーデジタイゼーションアクセラレーション(CDA)」を日本でも導入していくことを発表した。

 このプログラムは、シスコが事業展開している主要国に対して、中長期的なコミットメントに基づく戦略的な投資を行っていくというものだ。テーマは各国が抱える課題や経済成長戦略に基づき設定されることになっており、これまでにフランスや中国で「スマートシティ」の取り組み、ドイツやイタリアで「インダストリー4.0」のプロジェクト、英国やオーストラリア、インドでは「サイバーセキュリティ」分野のパートナーシップを展開してきたという。

シスコの「カントリーデジタイゼーションアクセラレーション(CDA)」概要。すでにグローバルで10カ国以上の実績がある

 日本においては、政府の掲げる「Society 5.0」ビジョンに呼応するかたちで展開していくと述べた。具体的な注力分野は、ウェスト氏も説明したTT&T(ツーリズム、トラベル&トランスポーテーション)、インダストリー4.0、デジタルワークプレイス、パブリックセーフティの4つであり、すでに実績を持つ各分野において、CDAプログラムを通じてパートナーシップ、戦略アライアンスをさらに拡大/加速させていく。

日本においてはすでに実績も出つつある4つの分野に注力し、さらなる拡大と加速を図る

 「当然ながら、既存のマーケットの中でベストオブブリードのソリューションを提供すること(従来のビジネス)もやっていくが、日本政府の掲げる課題解決と成長戦略を支援することで、新しいマーケットをクリエイションして、そこでシスコのビジネスも成長させる。これがシスコジャパンの、中長期の成長戦略である」(鈴木氏)

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