京急バスが大好きな2歳児くん
盛田 諒です、2歳児くんの保護者をしています。2年前に子どもが生まれたとき育休を取って「男子育休に入る」という育休日記を書いていたのですが、当時を振り返ると「そんなに考えすぎんでも」「緊張しすぎてるなあ」という場面がたくさんありました。過ぎてみないとわからないことではありますが、子どもが生まれる前の自分に会えたら伝えておきたいことがいくつかあります。
1. がんばりすぎないこと
まずこれですね。がんばりすぎるのはつらいだけなのでやめる。妻の代わりに家事やるのはいいけど「産後の体は栄養が必要だから」とか言って完全食にする必要ないですから。ワンプレートワンボウルで全然十分ですから。家事も一日の終わりに部屋のすみまでピカピカになってる必要ないですから。見えないところの掃除が大事なのはわかるんですけどゆとりがあるときやればいい話ですから。
特に生まれてすぐは(1)寝不足になる(2)家から出ない(3)ケンカしやすいの三要素でメンタル病みがちなんですよ。そんなときに家事で疲弊してたら病んだ心にとどめさすようなものなのでがんばりすぎないようにしてください。体力なくなってカゼひいたら相手に申し訳ないやら苦しいやらで最悪ですしね。やらなきゃいけないと思ったことの7割にセーブしといたほうがいいです。
あと「わからないんじゃないか、できないんじゃないか」とやたら不安になっているかもしれないですけどおむつ誰でも替えられますから。ミルクも作れるしお風呂も別に手順どおりやんなくても入れられますから。赤ちゃんが泣いた理由なんてわかったような気がするだけで実際全然わかんないですから。寝ないときは寝ないし寝るときは寝るんです。ググらない。自分のせいだと思わない。
2. 寝られるとき寝ること
次にこれ。寝られるときに寝る。休めるとき休む。睡眠は勝利ですよ。赤ちゃんが細切れにしか寝なかったり、夜中いきなり起きたりで一年間は寝不足になるので。赤ちゃんが寝たときにうとうと寝られる体制を整えたほうがいいですよ。寝床を制するものは乳児期を制するです。細切れ睡眠が無限に続くことはなくて成長とともにだんだんまとまって寝るようになるので安心してください。
ただしまとまって寝るからって今までのぶんを取り返すような勢いで夜に活動するとまた大変なことになりますからね。仕事と家事と育児が全部終わって自由時間になるのがいま22時くらいなんですけどそのときは疲れきって自由満喫するどころじゃないんですよ。本を読む力もなく、だいたいお酒飲んでお菓子食べてテレビ見るかゲームやって終わるんですよ。寝たほうがいいです。
かといって自由時間をあきらめてるわけじゃなくて、寝ればそのぶん朝に自由時間ができるんです。22時から7時間寝ても朝5時なので子どもが起きてくるまで好きなことできるんですよ。体も休まってるから家事もさくさく片づくし、本も読めるし。とにかく寝不足にならないことをすべてに優先して考えることです。ちゃんと寝て、体の余裕を作ることのほうが大事です。睡眠は勝利。
3. できることが変わること
子どもが生まれたあとで初めてわかったのがこれですね。子どもと二人きりだと寝かしつけが終わったあとにぶらっとコンビニ行けないんですよね。子どもを抱っこしてるとカウンターの店に入れないからラーメンも食べられなくなるし。ずっとそれだとつらいので子どもを預けることに罪悪感を持たずぶらっと大人だけで外に行く時間を作ったほうがいいです。息つまって倒れるので。
ただ逆に子どもとどっか行くことが増えることは楽しいですよ。公園、児童館、動物園、乗りものイベント、子ども向けのコンサートとかも楽しいんですけど、普通の買い物とか食事でも大人だけで行くのとは全然違う景色が見えてきます。行く先々で「あらかわいいね〜」とほめられるので満足感があるし、子どもがものを見たり食べたりしているところは観察してて面白いですよ。
一方、ベビーカーでエレベーター待ってるのに全然乗れなかったり、電車が混んできたとき赤ちゃん抱っこしてるだけで「チッ」と言われたり、おむつ替え台が女子トイレにしかなくて仕方なく男子トイレの室内を駆使したりとかキーって思いもいろいろすると思うんですけど、世界が子どもにほほえみかけてくれることのほうが多くて、世界への信頼が勝るので大丈夫です。
4. なるべく声をかけること
夫婦間コミュニケーション大事です。めちゃくちゃ苦手ですよね、わかります。今も苦手だから安心してほしい。子どもがいるとできることが変わって夫婦二人とも混乱するんです。だから小さいことでも言う。何時ごろ帰るとかもそうだし「疲れた」と言ってたら「お疲れさま」って言う。そういうこと言いたい気持ちじゃないかもしれないし、自分が疲れてるとき「お疲れさま」って言ってほしくないのもわかるんですけど、そういうの大事なんです。がんばってほしい。
子どもとのコミュニケーションも大事です。育児と名のつくもの、つまるところすべてコミュニケーションなんじゃないかと最近思ってます。赤ちゃん言葉わかんないと思うかもしれないですけど、しゃべらないだけでめっちゃ学んでますからねあの人ら。「わんわんだね」「ゆれてるね」「光ってるね」「危ないね」「楽しいね」みたいなことどんどん話しかけてったほうがいいですよ。
もちろん抱っこするとか手をつなぐとか表情を見るとか言葉がなくても伝わるものはたくさんあるし、ときにそっちのほうが大事だなと思うことも多いんですけど、言葉にしないと伝わらないこともたくさんあるんですよね。ていうか子どもを育てるって本当いろんな人に助けてもらうものだから声かけ基本なんですよ。家事育児いろいろある中、一番あいまいで面倒くさいところだと思うんですけど、たぶんここがネックですべてが決まるくらい大事だと思います。声をかけること。
5. 子どもはかわいいこと
そして最後にこれ。子どもが生まれるまではもちろん、子どもが生まれてからもしばらくは「子どもがかわいいとかよくわからん」と思うんですけどだんだん変わってくるので。最初は「なんやこの動物」みたいに感じると思うんですけど全然それでいいので。抱っこしたりおんぶしたりお風呂入ったりみたいなスキンシップが増えるにしたがって「これはかわいいかもしれない」「えっ?愛しい」「好き」みたいな感じになってくるので安心してください。そうなので。
ただかわいいと言っても大変なときは大変だし、大変でも最低限のことはサボれないという一種の責任感は出てくるんですね。仕事がイヤになって逆方面の電車に乗ってもそんな問題ないと思うんですけど、相手が家事育児だとサボるのがなかなかむずかしいんですよ。家事なら時間も適当に調整できるんですけど育児は時間がぴしっと決まってるんですよ。ごはん、お風呂、寝かしつけが。やってるうちにもうやだまじ逃げたい泣きたいってこともあると思います。
それでもまあやってるうちにサボりどころはわかってくるし、牧歌的な幸せを感じることも増えてくるし、子どもはかわいくなっていくので大丈夫です。親になった実感なぜかいまだにないんですけど、そういうことは感じてます。育休は職場の理解があって取れるのでよかったですねという感じなんですけど、育休で育児が終わるわけじゃなくて、それは長い長い日々の始まりなので、意気込まずいろいろ学んで面白がってください。子どものいる世界へようこそ。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。2歳児くんの保護者です。Facebookでおたより募集中。
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