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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第37回

背景で面白い動きを見せたファーウェイ:

iPhone 5Gの道筋が立ったアップルとクアルコムの和解

2019年04月24日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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●早く和解したかった?

 この件について筆者は、「アップルはクアルコムと和解する以外に道はない」と考えてきました。クアルコムは米国の通信技術の企業で、2019年以降普及していく次世代通信技術5Gへの対応に欠かせない企業です。

 アップルは昨年モデルのiPhoneで完全にクアルコムを排除し、インテルからの通信チップ供給を受けていましたが、インテルはスマホ向け5Gチップの開発が難航。アップルも独自開発の道を模索していたかもしれませんが、ライセンスや技術的に上手くいくかどうかの保証はありません。

 そこでアップルはクアルコムと和解し、世界中の裁判を取り下げることで合意しました。その上で、両社は6年間(さらに2年のオプションつき)のライセンスとチップ供給の契約を結び、iPhone向けにクアルコムの通信チップの供給が復活することになります。CNBCが伝えたところによると、UBSの試算でアップルは50〜60億ドルを支払い、今後iPhone1台あたり8〜9ドルのライセンス料を支払うことになったとみられています。

 また、このニュースが出た直後、アップル向けに通信チップを供給していたインテルがスマートフォン向けの5Gチップ製造から撤退。唯一の顧客だったアップルがクアルコム採用へと動く中、素早い決断を下しました。

 結果的には元のサヤに収まり、クアルコムは大口顧客を取り戻し、アップルとしても5G対応のiPhoneをリリースする道筋を立てました。

 今年はさすがに間に合わないでしょうが、2020年に最新通信技術に対応するiPhoneの登場が現実的になったというわけです。ただ、この和解がなければ、いつまでたっても5GのiPhoneが登場しない可能性もあったわけで、アップルはもちろん、既存のiPhoneユーザーにとって大きな不利益は回避された、と見て良いでしょう。

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