32nm SOIに微細化したPOWER 7+は
3次キャッシュをさらに増強
2012年には、POWER 7を32nm SOIに移行させたPOWER 7+も発表されている。コアの数こそ8つのままだが、eDRAMを利用した3次キャッシュは80MBに増強された。
画像の出典は、HotChips 24におけるScott Taylor氏の“POWER7+”
また最大32ソケットまでのSMP構成に対応しており、最大構成では256コア/1024スレッド動作となる。もっとも動作周波数の方は定格で最大3.86GHz、TurboCoreモードで4.14GHzとやや控えめになっている。
このPOWER7を搭載したモデルは2010年2月にエンタープライズ向けのPower 750 Express~Power 780がまず登場、同年4月にブレードサーバー向けのBladeCenter PS700~PS702が、8月にエントリ向けのPower 710 Express~740 Expressがそれぞれ追加される。エンタープライズ向けハイエンドのPower 795もやはり8月に発表された。
そして2012年10月にはPOWER7+を搭載したPower 770/780が発表された。
POWER 8ではパイプラインをワイド化し
1スレッドあたり性能が1.6倍アップ
さて、これに続くのが2014年に発表されたPOWER8である。POWER8の部分的な説明は2013年のHotChips 25で行なわれたが、全貌は2014年のHotChips 26で明らかにされた。
まず2013年に明らかにされたPOWER8の構成は以下のようになっている。1ダイあたり12コアで、各コアが8way SMTなので、つまりダイ1個あたり96個のスレッドが動作するお化けと化している。
画像の出典は、HotChips 26におけるAlex Mericas氏(Systems Performance, IBM Systems & Technology Group Development)の“Performance Characteristics of the POWER8 Processor”
製造は22nm SOIであるが、ついにeDRAMは96MBになった。ただPOWER7が10コア/80MBなので、コアあたり10MBの3次キャッシュだったのが、POWER8では12コア/96MBでコアあたり8MBとやや減少している。加えて同時稼働スレッドの数が倍だから、どう考えても3次キャッシュ不足である。
このため、外部に128MBのeDRAMを4次キャッシュとして接続できる仕組みとなった。コアそのものも、8way SMTということもあってさらに幅広なパイプライン構造になった。
画像の出典は、HotChips 26におけるAlex Mericas氏(Systems Performance, IBM Systems & Technology Group Development)の“Performance Characteristics of the POWER8 Processor”
1次キャッシュの大容量化や1次/2次キャッシュのバスの広帯域化などはほぼセオリー通りというところ。こうしたパイプラインのワイド化は当然1スレッド性能の向上にもつながるわけで、最大1.6倍とされる。
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