ソニーは3月26日、高さや奥行きを押さえつつ、サブウーファーも内蔵した、サウンドバーの新製品「HT-X8500」を発表した。合わせて、ワイヤレスサブウーファー付属の「HT-S350」も販売する。
従来、3~5万円程度のレンジでサブウーファーを別筐体にした「HT-MT500」「HT-MT300」「HT-CT380」があったが、これを置き換えていくものとなる。
テレビの前に置ける小型サイズで“アトモス”の効果を
「HT-X8500」は、2.1ch構成で出力160Wの一体型サウンドバー(左右40W+40W、サブウーファー80W)。サブウーファーを同一筐体に収めた“1本バー”タイプとなり、バーチャルサラウンドではあるが、ドルビーアトモスやDTS:Xにも対応する。
フロントスピーカーだけで立体的な音響を出す「Vertical Surround Engine」に対応。左右方向の効果を出す「S-Force PRO」に加え、高さ方向のバーチャルサラウンドも可能となる。これは、昨年モデルの「HT-X9000F」(実売6万円程度)が取り入れたのと同じ技術だ。
次世代技術である「eARC」にも対応した。すでに、プレミアムモデルの「HT-ST5000」(実売16万円程度)がアップデート対応しているが、多くの機器が対応している「ARC」(Audio Return Channel)の強化版として、ロスレス/非圧縮のマルチチャンネルデータを流せる点が特徴だ(利用にはテレビ側の対応も必要)。テレビとの接続はHDMIケーブル1本で済む(入力用・出力用を意識しなくて済む)。付属HDMIケーブルも、4K60pの伝送ができる18Gbps対応の「ハイスピード」タイプになった。
上部にはインジケータが6つあり、左の3つでコーデックやサラウンド信号の状態が分かる。加えて、電源、入力切替、Bluetooth、音量調節などもボタン操作で独立させている。大きめの赤外線受光部を持つほか、液晶テレビのブラビアとの組み合わせを考え、端子類は左側に寄せ、最短距離で接続できるようにした。背面には、HDMI入出力端子のほか、光デジタル入力端子、SBC/AAC対応のBluetooth機能などを持つ(NFCは非対応)。
テレビの前に置ける小型サイズで“アトモス”の効果を
一体型ではあるが、左右スピーカーとの間には仕切りを設け、独立させている。豊かな低域を再現するため、サブウーファーを前向きに設置しているが、高さを抑えるため、ユニットは長方形に近い形状とし、かつデュアルで使用している。ユニットのサイズはサブウーファー/左右スピーカーとも幅90×高さ52mmだ。
本体サイズは、幅890×奥行き96×高さ64mm、重量は約3.1㎏。テレビ台の奥行きは40cm程度であり、テレビのスタンド部は奥行きが300mm、高さが70mm程度。テレビと一緒にラック上に置いても問題ないサイズになるよう調整した。
なお、従来はウーファーを下向きに設置していた。前向きにするメリットは、ラックが再生時に振動したり、材質の影響を受けにくい点だという。また、細かな配慮として、パンチンググリルを正面だけでなく、上面と側面の一部まで広げている。音の広がりが損なわれないようにするためだ。さらに、天面をしぼ加工にして、テレビ画面が映り込みにくくするなどしている。
発売は4月20日で、価格はオープンプライス。店頭での販売価格は4万円台前半になる見込みだ。
迫力ある低域を求めるなら、サブウーファー別筐体モデルを
一方、「HT-S350」は、サブウーファー(ワイヤレス接続)を独立させたタイプ。ドルビーアトモスなどには対応しないものの、迫力ある低域が楽しめる。バーだけで130W(65W+65W)。サブウーファー部の出力は100Wだ。バーチャルサラウンドは横方向のS-Forceのみで、HDMIは出力のみ1系統持つ(ARC対応)。Bluetooth接続が可能。発売は5月25日。実売価格は3万円前半。
昨年の1本バーモデルが市場をけん引、少し上のモデルを投入
サウンドバー市場は、これまで横ばいから縮小の傾向で推移してきたが、2018年は台数ベースで前年比10%ほど伸長する見込みで、やや持ち直してきた。
ソニーも昨年、2万円台で購入できる“1本バー”タイプの製品を発表。夏商戦向けには、DTS:Xやドルビーアトモス対応のバーチャルサラウンド対応機なども投入し、市場の活性化を促してきた。結果、台数ベースで前年割れしていた2017年に対して2018年は市場全体が前年比110%拡大。ソニー単体で見れば120%ほど拡大する形で推移している。
金額ベースでも市場全体が横ばいである中、ソニーは120%ほどに拡大できたとする。サウンドバーの平均単価は3万円以下で、さらに1本バーでは2万3000円程度となる。その中でソニーは3万6000円程度と高い平均単価を維持している。つまり、ドルビーアトモスやDTS:Xなどに対応した、付加価値モデルが一定の成果を上げていることになる。
一方で市場は二極化している面もある。これより上のクラスになると急に価格帯が飛んで5万円を大きく超え、10万円に迫る価格帯から選ばなければならない。これではなかなか手が出しにくいので、2万5000円程度の既存モデルからのアップグレードを想定した製品として狙ったのが今回の2製品だという。
訂正とお詫び:HT-S350の製品名が誤っていたため修正しました。(3月26日)
HT-X8500に付属するケーブルの情報が変更となったため、本文を修正しました。(4月2日)