メカメカしい重厚な外観と、背筋が引き締まるような高解像度に注目
新進ブランド「Acoustune」をミニレビュー、パッキリと冴えたサウンドが好印象
2019年03月22日 11時00分更新
付属ケーブルとイヤーピースは単体販売も実施
これらのケーブルと、付属のイヤーピースは別売もする。その際は、標準添付のMMCXタイプだけでなく、IEM 2pin端子に対応したものも用意する。
HS1551CUの同梱品と同等の「ARC OFCケーブル」は直販価格1万4980円(3.5mmまたは2.5mm4極プラグ)/1万9980円(4.4mm5極プラグ)で合計6製品。HS1670SS/HS1660CUの同梱品と同等の「ARC シルバーコート ハイブリッドケーブル」は2万5980円/3万9800円で、同じく6製品がある。
イヤーピースは3種類で、2段キノコタイプで軸径が細めのイヤホンでも使える「AET06」、広帯域でニュートラルな特性の「AET07」、広帯域で低音がやや強めの「AET08」がある。サイズ別、3ペア単位での販売で、直販価格は各880円。
高解像度でハッとさせられるクリアーさ
記事執筆に先立ち、改めて3製品を聴き比べてみた。「従来のダイナミック型イヤホンを凌駕するサウンド」という触れ込みだが、その言葉通りの傑出したサウンドであると感じた。また、色以外の見た目は同じだが、筐体の素材やドライバーの差によって音の個性は異なってくる。好みのものを見つける楽しみもありそうだ。
Astell&Kern「A&ultima SP1000 SS」との組み合わせで、以下の3曲をハイレゾ盤で聴いた。ここまで鮮明かつクッキリと音の像を表現できるイヤホンはほかにないのではと思えるほどだ。
試聴曲
- バイオリンソロ:
Pavlo Beznosiuk
「Toccata and Fugue in A minor, after Bach BWV 565」 - オーケストラ(小編成):
イ・ムジチ合奏団、フェリックス・アーヨ
「『ヴィヴァルディ:四季』より夏」 - ロック:
Queen
「Bohemian Rhapsody」
例えるなら、透明度の高いガラスを2回も3回も念入りに拭いて、さらに力を入れて拭いたら、ガラスが割れて素通しになってしまったぐらいの感覚。そのぐらい音の見晴らしがよく、情報量が豊富で、緻密で細かい描写だ。傾向としてはクール。低域は主張しすぎないがしっかりしていて、シングルダイナミック型ドライバーならではのつながり感の良さや力感も兼ね備えている。複雑な倍音を含んだ、バイオリンの音がキリリと硬質に再現された点は特に印象が残った。
最新世代のHS16シリーズでは、ドライバーとケーブルが一新されており、より一層の鮮明感がある。しかし、3製品とも高水準なサウンドであり、甲乙つけがたい。単純な価格差だけでなく、素材の違いによる音の個性も考慮に入れて製品を選びたい。音響チェンバーが真鍮製のHS1660CUは、情報量自体は変わらないが、高域に少し癖というか味がある。ステンレスのHS1670SSはこれよりも硬質かつニュートラルな傾向だ。残響の消え方なども、自然できれいに減衰していく。そういう意味で上位・下位のランク付けがある点は納得できたが、聴く曲によっても好みの製品は変わるだろう。
ちなみにベンチマーク的に、ダイナミック型イヤホンの最上位クラスである「DITA Dream」とも聞き比べてみた。Dreamは、HS1670SSとHS1660CUの間にあるようななサウンドで、チタン筐体のせいか、ステンレス製のHS1670SSより音調がまろやかにまとまる。ただ、単純に情報量や解像感だけを比較すれば、HS1670に軍配が上がるかもしれないと思える面もあった。DITA Dreamはすでに生産完了しているが、20万円超で販売されていた機種だ。そう考えれば、7万円台と高価なHS1670SSでも、バリュー感のある価格に感じられてくる。