月額基本料12円のIoT/M2M向け通信サービス「さくらのセキュアモバイルコネクト」。昨年の11月にはマルチキャリア対応を発表。進化し続けるサービスの最新動向についてさくらインターネットの山口亮介氏に話を聞いた。
マルチキャリア対応なので、現地でキャリアを決められる
昨年発表されたさくらのセキュアモバイルコネクトは、さくらのクラウドまでセキュアな通信が行なえるサービスだ。最大の売りは、なんといっても月額基本料12円という低廉な料金。従来型のSIMのような通信制限もなく、基本料とデータ通信料、そして最大1万枚のSIMを登録可能なモバイルゲートウェイの利用料のみで利用できるため、運用コストを大きく下げることができる。
意外と知られていないが、月額12円という基本料にはSIM管理やSIMルート、独自DNS設定、IMEIロックなどさまざまな機能が含まれている。また、通信速度も無制限で、インターネット接続やSIMの有効・無効の切り替え、スタティックルートや通信量を制限するトラフィックコントロールの設定も基本料だけで行なえるほか、MCC、MNC、TAC、ECIなど基地局の情報も提供される。
昨年の11月にはマルチキャリア対応が発表された。キャリアごとに異なるSIMが用意されるわけではなく、SIM1枚で3キャリアに対応できるのが大きな売り。山口氏は、「今までは電波状態を見て、どのキャリアを選ぶか決めなければなりませんでしたが、さくらの場合はSIMを搭載したデバイスを持っていって、現地でキャリアを決められます」と山口氏は語る。在庫やデバイスの管理から解放されて、本業に専念できるという。
顧客とともにグローバルにも進出していく
さくらのセキュアモバイルコネクトは昨年2月のサービス開始以来、ユーザー事例も増えており、1万枚購入するような大規模な事例も複数社出てきたという。
たとえば、ポスティング会社ではGPSロガーにSIMを搭載し、ポスティングした地域や時間を把握できるようにしている。また、ビルの監視カメラや浄水場の計器など機器の監視用途も多い。さらに、宮古島の島しょ型スマートコミュニティ実証実験では、太陽光パネルの発電量や電力負荷などの監視に、さくらのセキュアモバイルコネクトが用いられている。「なにかが起こったときには通信が発生するが、普段は寝ているというサービスとは非常に相性がよい。組み込み前提のsakura.ioに比べても、SIMの市場は広いと感じています」(山口氏)。
導入理由は低廉な価格やマルチキャリア対応などが多い。マルチサイズSIMのほか、MFF2対応のチップ型SIMが小ロットで導入できるという点を挙げるユーザーもいるという。
ユーザーニーズに応じて、海外対応も一部進めている。中国とスペインでは対応試験が順調に進んでおり、2019年度中には20カ国対応を目指している。「フルMVNO事業者なので、接続先と直接交渉すれば利用まで持っていける。料金に関しては、お客様の声を聞きながら、今後競争力のある価格を出していく予定」と山口氏は語る。今後はsakura.ioともSIMの共通化を図っていく予定なので、通信エリアは共通化されていく予定だ。
(提供:さくらインターネット)