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山谷剛史の「アジアIT小話」 第162回

中国製のスマートディスプレーで、中国発のAIバーチャルアイドルを育成した

2019年02月24日 10時00分更新

文● 山谷剛史 編集● ASCII編集部

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音声やアプリから操作やキャラクターの育成が可能

 この「HE琥珀」のディスプレーはタッチ対応ではなく、声やアプリから操作する。特に指示がない場合は、琥珀はご飯を食べたり、寝たり、犬と戯れたり、読書をしてたりといった行動を自発的にする。

犬と遊んだり、ギターを弾いたりする

 音声でのコントロールにより、アラームを設定したり、ニュースを話してもらったり、日時を聞いたり、音楽を聴いたり、京東微聯という規格に対応したスマート家電を操作したり、さまざまな物語を語ってくれたりしてくれる。

 ディスプレイでは琥珀の姿しか表示されないので、何かのビデオが再生されることはなく、この製品は実質スマートスピーカーである。さすがに日本のサブカルチャーの影響を受けているのか、音楽を聴かせてというと日本のボカロ曲やアニメのテーマソングをよく流す。

詰めが甘く、ニュースは新聞の一面しか話さないが
育成要素や追加コンテンツもあり

 子供用の読み聞かせコンテンツや漢詩の音声コンテンツがあるあたりは、中国のスマートスピーカーやメディアプレーヤーでよくあることであり、中国製品のセオリーどおりではある。ニュースについては、大手企業のスマートスピーカーは「テクノロジーニュースを話して」「日本のニュースを話して」というニーズに対応するのだが、この製品については細かな設定ができず、新聞の一面しか紹介しない。

 声かけすると、ちゃんと報道用デスクのようなところに腰かけて話してくれるのだが、いかんせん一面のニュースしか取り上げないのでは、結果的に琥珀は中国プロパガンダの語り部となってしまう。

ニュースも読んでくれるが、新聞の一面のみと詰めが甘い

 アプリではより詳細に琥珀に指示をすることができる。たとえばアラームや繋がるスマート家電の機器を設定したり、各種食事を与えることができるほか、再生する音楽の設定に、琥珀の持ち曲のダンス付き再生や、バイオリンやギターやドラムなど楽器の演奏をお願いすることまでできる。

 持ち歌でない任意の歌を再生する際は、曲とダンスがあってないが、持ち歌の場合はしばらくデータをダウンロードしたのちに音楽が再生されるや、それに合わせて踊ってくれる。琥珀にはさまざまなパラメーターがあり、楽器の演奏や読み聞かせなど、琥珀にさせればさせるほど数値が上がるという育成要素もある。育成を気にするならあらゆる興味のないコンテンツも聞かなければいけないあたり、賛否が別れそうなところだが、試み自体は面白く感じた。

スマホアプリからはさまざまな指示ができる。育成要素も

 またアプリにはショップもあり、琥珀コンテンツ用マネーを購入すると、琥珀の服や追加コンテンツを購入することができる。服を買えば着替えてくれるというが、500元くらい使わないと買えないあたりがなかなか恐ろしい(とはいえ中国のモバイルゲームではよくある金額設定だ)。

追加要素もあるが、結構高価

 HE琥珀を使ってみた感想としては、スマートディスプレーとしては粗削りであるどころか、致命的ともいえる音声認識の甘さがあるが、それを補って余りある魅力があると感じた。何かを尋ねるためのスマートディスプレーでなく、たまごっちのように側に置き、アプリメインで音声でも育成できる製品といったほうがいい。無課金でもそれなりに遊べるので、興味がある人は中国の電話番号を準備したうえで買ってみてはいかがだろうか。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場」「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 」(星海社新書)。

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