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Windows Info 第160回

Windows 10 RS5に搭載されたレイトレーシングの機能

2019年02月17日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII編集部

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公開されているサンプルプログラムを動かす

 公開されているプログラムは4つあり、比較的簡単なものから、ゲームの1シーンを思わせるようなものまである。おそらく、自分でコードからビルドするような方はあまりいないだろうから、先にサンプルを紹介する。

 「Hello World」は最も単純なレイトレーシングのデモで、タイトルバーにフレームレートやプライマリーレイ(最初に計算する視点側から開始する光の経路)を1秒間に何回行なったかなどを表示する。

最も簡単な「Hello World」。RTXシリーズで実行するとフレームレートで3000fps程度の速度が出る。Fallback Layerを使っても900fps程度にはなる

 また、キーにより、Fallback Layer(FLと表示される)とレイトレーシングハードウェアによる実行(同DXR)を切り替えることもできる。「Simple Lighting」は、矩形が回転するもの。こちらも、FLとDXRを切り替えることができる。

正六面体が回転する「Simple Lighting」。こちらもハードウェアレイトレーシングで3000fps、Fallback Layerでは1000fps程度になる

 「Procedural Geometry」は、計算して作ったオブジェクト(ジオメトリー)を表示し、ライト、カメラ、ジオメトリーをそれぞれ動かしながら表示を行う。いくつか表面が鏡のようになったオブジェクトがあり、まわりの映り込みがある。また、複雑な形状があり、内部に落ちる影などを見ることもできる。このあたりになると、GPUの消費電力が大きくなるのか、ファンが盛大に音を出し始める。

「Procedural Geometry」では、プログラムで生成したオブジェクトをレイトレーシングで表示する。オブジェクトや視点、光源を別々に動かすことができる。金属の球体に周囲が映り、それがさらに床面に映り込む

 4つめは「MiniEngine」と呼ばれるサンプル。こちらは、ゲームのように汎用の3Dグラフィックスエンジンを動かし、ラスターグラフィックスとレイトレーシングを併用する。

ゲームのようにエンジンがモデルデータを読み込んでシーンを生成する「MiniEngine」。建物の中をあちこち動き回ることができる。ただし、描画はラスターグラフィックスがベースでこれにレイトレーシングで反射光や映り込みを計算する

 シーン全部をレイトレーシングで描画するのではなく、大半をラスターグラフィックスで描画し、レイトレーシングで間接光や映り込みなどを表示させる。また、マウスやキーボードを使い、室内を自由に動き回ることができる。動作パラメーターなどをプログラム内部から変更することも可能。

ラスターグラフィックスによる描画とそれにレイトレーシングで反射を付けた描画。レイトレーシングを使うことで、右手前の盆の端への映り込みなどが出るようになる

 RTXシリーズに対応したゲームである「Battlefield V」が、同様の手法を使い、車のボディや水面の映り込みなどを処理していた。ラスターグラフィックスでは、「それらしい光」が映っているようにしか表現できないが、レイトレーシングを使うと、元の形がかなり忠実に映り込む。

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