日本の自動車や地下鉄が走っている街、ジャカルタ
でもバイクは不可欠 ならば普及するのはシェアエコノミー
人口2億5000万人超と、アジアで中国とインドの次に人口の多い赤道付近の島国インドネシア。首都ジャカルタは、知る人ぞ知る日本のJR車両や地下鉄車両が走る都市だ。遠い異国で、副都心線や千代田線や東西線や南武線や東急線の車両などに乗るという不思議な経験をすることができるので、乗り鉄として行くだけでも楽しい(これは懐かしい! インドネシアの東京メトロ車両に乗ってみた!)。
またインドネシアの乗り物と言えば、日本車比率は9割以上と非常に高く、どこを見ても走る車はほぼ日本車ばかりという国でもある。車以上にバイクが多く走っているが、こちらもホンダやヤマハなど日本のブランドが強い。
ジャカルタでは日本の電車が第二の人生を送っていると言ったが、公共交通機関は弱く、中心地の住宅地の道は非常に細くて車で入れない道ばかりなので、途中までは電車やバスを使っても、駅やバス停から住宅地にある家にささっと行くにはバイクを使わざるをえない。だからバイクは以前から身近な乗り物なのだという。
一方のITにおいては、インドネシアはかつて独特な成長を遂げていた。日本でも知られているところでは、QWERTYキーボードが特徴のBlackBerryが広く普及しており、一時の携帯電話ショップはどこを見てもBlackBerryの店ばかりというときもあった。
現在ではOPPOやVivoをはじめとした中国メーカー勢のロゴが目立つが、中国では見かけないQWERTYキー搭載のAndroid端末が若干ながらインドネシアのメーカーから発売されている(ただしスペックに期待してはいけない)。もっともジャカルタを代表する電脳街であっても、実はそうした製品を見つけるのは困難。とはいえ探してみる価値はある。
2人乗りのバイクの配車サービス「GO-JEK」が人気
そんなジャカルタを中心としたインドネシアで、乗り物とITを融合したサービスといえば、バイクの2人乗りによる配車サービスを柱とした「GO-JEK(ゴジェック)」が人気で、急激に普及している。
これは緑色のヘルメットとスタジャンが特徴で、現在100万人以上がドライバーとして登録していることから、ジャカルタの市中心部では、中国のシェアサイクルもびっくりなほど多くの緑色のライダーが街中を駆け抜けるのを見ることができる。
ところでタイやマレーシアなど東南アジアの国々で「Grab」という配車サービスが人気だ。Grabはインドネシアにも進出し、インドネシアでもそれなりに見るのだが、GrabよりもGO-JEKのほうが見る機会が多い(GO-JEKとGrabの両刀使いがインドネシアではベスト)。報道によれば2017年の段階でGO-JEKはインドネシア国内の50都市で展開しているという。
GO-JEKは、基本的には配車サービスではあるのだが、欧米のUberや中国のDidiとはまた違う成長を遂げていて、インドネシアに行ってみれば、知れば知るほどに独特で面白く感じることだろう。

この連載の記事
- 第190回 日本で売られたiPhoneがベトナムに大量輸出されている!? その実態とは?
- 第189回 コロナ禍以降の久しぶりの人民大移動で仕掛ける中国大手ネット企業
- 第188回 深圳では最新iPhone 14も魔改造! 「魔改版」と呼ばれる怪しい中国改造製品の数々
- 第187回 中国でブームの気配を見せて、すぐ沈静化した「スマートミラー」 短命だった理由は?
- 第186回 アリババが発表したクラウドノートPC「無影筆記本」 その真意は?
- 第185回 転売業者は大損、修理屋は地方へ 複雑怪奇な深圳の電気街でのiPhone業者事情
- 第184回 中国でテレビはPCとスマホに次ぐ第3のスマートデバイスに ゲームに健康とトレンドを取り込み続ける
- 第183回 中国でバカ売れの子供用スマートウォッチ「小天才」は大人も欲しくなる出来!
- 第182回 中国でファーウェイが取り組んでいる、脱Wintelなパソコンの数々
- 第181回 中国産CPUやGPUが続々発表、中国政府も力を入れる脱米国は現実化するか?
- 第180回 マイニング禁止になったはずの中国なのに、今もビデオカード市場は修羅場
- この連載の一覧へ