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大谷イビサのIT業界物見遊山 第35回

1.9万シェアされたコラムから記者はなにが学べるか?

2019年01月04日 12時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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 昨年、9月10日にさくらインターネットの石狩データセンターについてのコラム「約60時間を非常用電源設備で乗り切った石狩データセンターの奇跡」を書いたら、過去にないくらいバズってしまい、腰が抜けた。1ページのビジネス系コラムで1.9万のシェアなんて見たことない。

さくらお手製の石狩データセンターのノベルティ

 面白いことにここまでシェアされると、普段のFacebookの友達範囲を飛び越して、地元の同級生とか、同じマンションの人から「記事読みましたよー」と声をかけられるレベルになる(笑)。半分以上は自慢なのだが、書き手の立場として記事について一応自己分析してみた。

やさしく書いた

 コラムには北海道胆振東部大地震で起こった想定外の停電に、石狩データセンターが対応できた背景などを書いた。執筆に際して意識したのは、テック記者であれば知っている知識を可能な限りかみくだいて説明することだ。停電時の対応や電力供給、燃料の備蓄、継続稼働の重要性など、普段データセンターを意識しない人にも、なるほどーと思えるように書いた。夏の台風のときに、転倒した電柱の復旧やダムの放流など、災害時対応のインフラ屋さんの活躍について書かれた記事に自分も感銘を受けたので、ああいった記事のIT版ができたらいいなと思ったのだ。

タイミングがよかった

 さくらインターネットの田中社長は前日NHKの番組に出演して、石狩データセンターの話をしている。停電においてもきちんと連続稼働していて、安心感を与えるつもりで出演したものの、実際に見てみたら不安をあおるような報道で、田中さんもSNSで「NHKを信用した自分がバカだった」とまで書いている。こうした報道の次の日の朝に、この記事が挙がったのでわりと多くの人が反応してくれたようだ。ちなみに田中さんのコメントを読んで、私も公開前の記事に「しかも、ITに対する知識の不足により、いたずらに不安をあおるような報道も多い。」というコメントを追記している。偽らざる気持ちだ。

よくも悪くも熱く書いた

 よくも悪くも“熱く書いた”という点はある。さくらインターネットとは本当に長いつきあいで、石狩データセンターも2回見学している。長らくインフラを支える人たちを取材で見ているので、彼らの苦労や努力が踏みにじられ、誤解されるような風潮はどうしても許せなかったし、全道停電という想定外の事態において、巨大データセンターを動かし続ける運用のすごさを多くの人に正しく理解してほしい。その熱さが読者にも伝わったようで、少なくとも記事の感想を直接くれた人は、「あの記事は熱かった」「目頭が熱くなった」と言ってくれた。

 その一方、記事に関しては「奇跡じゃねえだろ」「さくら贔屓」「広告記事かよ」「美談化しすぎだろ」みたいないろいろ批判もあった。奇跡かどうかというタイトルに向けた批判については、田中さんが直接火消しまでしてくれたようで、恐れ多い限りだ。気がつけば批判票ばかりだったのかもしれないが、結果的にはあのタイトルで読者を「ざわっ」とさせたところまで含めてよかったかなと思う。

 ここまで読んでもらえばわかるとおり、執筆に際してさまざまな努力はできるが、同じような結果を大量生産できるシルバーバレットはない。やり方を模倣しても同じ結果は出てこないという当たり前の結論だ。しかし、はっきりしているのは、量が質を生み出すという真理。数多くのアウトプットで失敗と成功を繰り返すことで、見えるもの、到達できる地点があるということだ。

 年末年始にいろいろ考えた末、今年もひたすらアウトプットしていくのが目標。よろしくお願いします。

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