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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第489回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー 互換機市場を形成したIBM-PC

2018年12月17日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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PC Jr.不評の原因は
拡張性と互換性の排除

 PC Jr.の問題はコスト削減のために拡張性を削り、キーボードなどを廉価すぎるものにしたことだ。特にキーボードはおそろしく操作性が悪く、また赤外線接続としたものの、これが蛍光灯の影響を受けやすいといった欠点もあって、評判を一気に下げる原因となった。

 またメモリーが128KBではほとんどのアプリケーションが動作せず、結局拡張カードで増設する必要があったのでその分割安感は薄れたし、その拡張カードも独自規格で、しかもスロット数そのものが少なかった。

PC Jr.のマザーボード。右下がフロントパネル下部のROMスロット用のコネクターである

 ちなみにPC Jr.では拡張カードを減らした代わりにROMスロットが用意され、例えばBASICはこのROMカセットからブートできたほか、シリアルポートやパラレルポートをROMスロット経由で増設できる(*)ことで拡張性の少なさを補おうとしたが、問題はこれがIBM-PCと全く互換性がなかったことだ。

(*) サードパーティ品の中には、このROMスロットをディジーチェーン式に拡張できるものもあった。

 BIOSそのものはもちろん互換性があったのだが、メモリーが少なすぎる、2台目のFDDは接続できないといった、IBM-PCやIBM-PC/XTでは暗黙の標準とされていた諸々の事柄が、PC Jr.では全部制約事項としてのしかかることなった。

 なにせWordStarやLotus 1-2-3ですら動かない(Lotus 1-2-3は後でPC Jr.版がリリースされた)というのは大問題である。こんなことは開発中にわかっていたはずなのに、それでも改善できなかったというのはなかなかシリアスな問題であろう。

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