IBMパソコンの原型
SCAMPを社内でデモ
ということで今回はIBM-PCが爆誕するまでの話だ。Lowe氏は1973年、SCAMP(Special Computer APL Machine Portable)と呼ばれるマシンの開発に携わっていた。SCAMPは同社のPaul Friedl博士とLos Gatos Scientific Centerのチームが開発したものだが、その実装をLowe氏が手伝っていた。
画像の出典は、Google BooksのアーカイブにあるPC Magazine 1983年11月号
SCAMPそのものは、IBMが自社で開発したPALM(連載422回とは無関係)という16bitマイクロプロセッサーを利用した。ちなみにPALMはPut All Logic in Microcodeの略である。
もっともマイクロプロセッサーといっても当然1チップではなく、ロジックボードの上に13個のゲートアレイで実装されている。SCAMPは名前の通り、APL(*1)を使える、ポータブルなコンピューターを目指したものである。
(*1) そういうコンピュータ言語があり、80年代あたりまで特にIBMは力を入れていた。
ポータブル、といっても写真でわかる通り、「現在の基準では」到底持ち運びできる代物ではなかったのだが、1973年当時では画期的な小ささであった。ちなみにこのSCAMP、モニター部分は持ち運び時に筐体内に畳み込めるようになっている。
SCAMPはあくまでもプロトタイプであったが、Lowe氏はSCAMPを抱えて社内のあちこちにデモして回ることで、これをベースとした製品の開発にGOが出た。
この連載の記事
-
第768回
PC
AIアクセラレーター「Gaudi 3」の性能は前世代の2~4倍 インテル CPUロードマップ -
第767回
PC
Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ -
第766回
デジタル
Instinct MI300のI/OダイはXCDとCCDのどちらにも搭載できる驚きの構造 AMD GPUロードマップ -
第765回
PC
GB200 Grace Blackwell SuperchipのTDPは1200W NVIDIA GPUロードマップ -
第764回
PC
B100は1ダイあたりの性能がH100を下回るがAI性能はH100の5倍 NVIDIA GPUロードマップ -
第763回
PC
FDD/HDDをつなぐため急速に普及したSASI 消え去ったI/F史 -
第762回
PC
測定器やFDDなどどんな機器も接続できたGPIB 消え去ったI/F史 -
第761回
PC
Intel 14Aの量産は2年遅れの2028年? 半導体生産2位を目指すインテル インテル CPUロードマップ -
第760回
PC
14nmを再構築したIntel 12が2027年に登場すればおもしろいことになりそう インテル CPUロードマップ -
第759回
PC
プリンター接続で業界標準になったセントロニクスI/F 消え去ったI/F史 -
第758回
PC
モデムをつなぐのに必要だったRS-232-CというシリアルI/F 消え去ったI/F史 - この連載の一覧へ