突発性難聴にかかり難聴度を検査
人の聴力は20代後半から毎年劣化する
私事で恐縮だが、筆者は今年の春に2度目の「突発性難聴」というややこしい耳の病気にかかり、回復するまでの1ヵ月強の間、右耳の聴力が左耳の聴力のマイナス20dBくらいになった。難聴度の詳細はその時の骨伝導検査である「標準純音聴力検査」の結果を見れば明かだ。
X点をつないでいる上の折れ線グラフが左耳の聴力。○点をつないでいる下の折れ線グラフが一時的に悪くなった右耳の聴力だ。検査シートには低音である125Hzから高音の8000Hzまでの、8つの周波数帯における聴力検査の結果がプロットされている。周波数帯によって難聴レベルは違うが、ほぼすべての帯域で20~30dBの減衰が見られる。
ちなみに、弦楽器であるバイオリンの高音は4000Hz程度、パイプオルガンは60Hz~2000Hz程度だ。一般的な人の声は個人差や性別差があっても300Hz~1000Hzくらいだろう。筆者の場合もそうだったが、人間は両方の耳があるので、たまたま片側の耳の聴力が多少落ちても気づきにくい。今回は10年ほど前に経験して、たまたま2度目と言うことでもあり、意外と早い時期に自覚することができたので、100%ではなくても事なきを得て回復した。
大きな病院の耳鼻科で処置後の同検査シートを見ると、高域の8000Hzを除きほぼ全帯域で5dB~10dBの劣化くらいまでに回復している。残念ながら左右が全く同じレベルまで回復しなかったが、もともと左右の聴力がまったく同じというケースも珍しいだろう。
今回の突発性難聴をきっかけに人の聴力に興味が湧いてきたので、ネットでいろいろ調べてみた。昔にパソコン関連で、高齢者向けのプロジェクトに関わったことがあるので、人の聴力は20代後半から毎年劣化するということは理解していたが、改めてネット上のデータを見て驚いた。
125Hz~8000Hzの全帯域で加齢による劣化は顕著だが、特に4000Hz、8000Hzの高域の劣化は凄まじい。20歳の人と60歳の人を比べてみると、なんと4000Hz~8000Hzではマイナス40dBも聴こえなくなるようだ。計算上、マイナス20dBの劣化は聴こえる音の大きさが1/10、マイナス40dBならほぼ1/100しか聴こえない計算だ。これはもう良く聞こえるかどうかの問題ではなく、ほとんど聴こえていないと考えるべきかもしれない。
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