小売の再構築の結果生まれた「Amazon 4-Star」
店舗単位での採算を最重視していない点もモヤモヤ
このAmazon 4-Starは、2018年9月にニューヨークで1号店がオープンし、コロラド州ロングツリー、カリフォルニア州バークレーを含めて米国で3店舗が運営されています。
店舗に行くと、書籍、おもちゃ、キッチン用品、電子商品、スマートホームといったカテゴリの商品が所狭しと並んでいます。もちろん、どの商品も4つ星以上を獲得している人気と評価が高い商品ばかり。
確かにAmazonのショッピング体験は、オンラインで簡単に商品を比較できることでしたが、それを実店舗に集めてみると、やっぱり実際に見たり手に取れるショッピングって良いものなんだな、と再確認させられます。
同時に、これまでAmazonがさまざまな小売店をオンラインショッピングによって駆逐してきた経緯もあり、複雑な気持ちもまた高まります。ショッピング体験をオンラインベースで再構築し、オンラインを前提とした実店舗の姿を示したからです。
膨大なデータに基づいた商品のセレクトは、お世辞抜きで楽しい品揃えが出来上がります。売れ筋だから発見は少ないかと思いきや、そうでもないのです。普段は自分が必要なものしか調べませんから、それ以外の売れ筋が目の前で一覧されている状況自体が初めてだったのです。
そして、さらに既存の小売店にとって脅威である点は、Amazonは必ずしも、この店舗での採算性を最大化する必要もないという点です。
商品の存在を知り、価格を見て、あとでオンラインで買っても良いわけですし、ショールーム的な扱いをしておいてもいいのでしょう。返品などのサービスを受け付ける拠点としての役割も担います。
この連載の記事
-
第264回
スマホ
ライドシェアにシェアバイク、これからの都市交通に必要な真の乗り換え案内アプリとは? -
第263回
スマホ
Amazonが買収したスーパーマーケットで生じた変化 -
第262回
スマホ
日産「はたらくクルマ」でみたテクノロジーでの働き方改革 -
第261回
スマホ
WWDC19で感じたのは、体験をもとにアップルがサービスの整理整頓を進めているということ -
第260回
スマホ
LoTで、いかにして世界から探し物をゼロにできるか?:Tile CEOインタビュー -
第259回
スマホ
ファーウェイ問題で感じたテクノロジーと国家対立の憂鬱 -
第258回
スマホ
スマホでの注文が米国でのスタバの役割を変えた -
第257回
スマホ
10連休に試したい、ゆるやかなデジタルデトックス -
第256回
スマホ
人によって反応が異なるドコモの新料金プラン -
第255回
スマホ
「平成」と「令和」 新元号発表の瞬間の違い -
第254回
スマホ
Adobe Summitで語られたAdobe自身のビジネスや開発体制の変化 - この連載の一覧へ