業務を変えるkintoneユーザー事例 第39回
全国のkintone hiveを勝ち残ったファイナリスト5社が勢揃い
グランプリを巡る熱いプレゼンバトル「kintone AWARD 2018」が開催
2018年11月14日 10時30分更新
「やるやる詐欺」の汚名をkintoneの開発で返上した星野リゾート
ラストは、国内35拠点、国外2拠点の施設を展開する星野リゾート。プレゼンターはグループ情報システム部 前田文子氏。前田氏は、2013年に入社。星のや京都で3年間接客業務に携わり、2017年12月に希望を出して、情報システム部に異動した。
星野リゾートでは現在、628個のkintoneアプリを業務に活用しているという。生産性を挙げるための業務改善領域、フラットな組織という文化を維持するための情報共有領域に加え、宿泊予約システムにkintoneを活用することで高速なPDCAを回している。本日は、この宿泊予約システムに関する事例を発表してくれた。
星野リゾートの予約は、自社サイトの利用率が6割と高く、重要な販売ツールとなっている。そのため、マーケティング部門からはこの予約サイトをアップデートしたいという要望が寄せられている。しかし、前田氏が異動した当時、情報システム部には5人しかいなかったのだ。国内外全ての施設に加え、新しいプロジェクトのPCのキッティング、インフラの設計、ITサポートなどに日々追われていた。
「そういった時に、ある事件が起きました。予約サイトに銀行振り込みでの決済機能を入れられますか、とマーケティング部門に聞かれたのです。そこで、いつ着手できるかわかりませんが、開発工数は3ヶ月、と言う意味で3ヶ月くらいと答えました。すると、今から3ヶ月でできるんだ、と受け取られてしまったのです」(前田氏)
マーケティングが待てど暮らせど機能が追加されず、この話が星野代表の耳に入ってしまう。情報システム部の上司が会議で「やるやる詐欺」と強く詰められ、丸焦げになってしまったのだ。そこで、異動してきて数ヶ月の前田氏に、3ヶ月で作るように指示が来た。早速、当時開発を依頼していたベンダーに見積を取ったところ、12人月という結果になり到底間に合わないことが発覚。上司と相談したところ、kintoneの役割を増やしてみてはどうか、という話になった。
kintone開発サービスを提供しているジョイゾーに開発を手伝ってもらい、無事3ヶ月でアプリが完成した。実際に、使い始めると、請求書をわかりやすいレイアウトにして欲しいとか、銀行振り込みの消し込みの精度をあげたいという要望が来た。しかし、前田氏は1ヶ月でkintoneアプリを作成し、リリースした。予約数も増え、星野代表に「がんばったね」と言われたそう。
この経験を踏まえて、3つ伝えたいことがあると前田氏は言う。
「1つ目が、短期間でシステムを作るにはkintoneファースト。2つ目が、要件が不確定な案件にはkintoneファースト。3つ目が、ユーザー自身がシステム開発に参加するkintoneファーストです」(前田氏)
業務知識のある前田氏がアプリ作成に携わることで、結果的に手戻りのない開発を実現できた。このことが、3ヶ月で開発を完了し、1ヶ月で機能拡張できた理由だという。
グランプリを獲得したのは矢内石油
今回、見事グランプリを獲得したのは、矢内石油の矢内氏だった。ハイレベルのバトルを勝ち抜いた矢内氏は、「まだまだ小さい会社なんですけど、頑張ってもっといい会社を作っていきたいなと思います」とコメントする。
グランプリの発表は、審査委員長の一橋ビジネスクール教授 楠木建氏が行なった。「僕は、何年かkintone AWARDの審査員をやらせていただいているのですが、情報システムの会社がやる集まりって雰囲気が悪いことが多いんですよ笑 kintoneはとても気がいいので、この雰囲気がある限り大丈夫だと思います。今日の発表も、kintoneの活用が素晴らしいという以前に、経営として大変どこも優れていると思いました。皆さん、人間として素晴らしいなと思いました」(楠木氏)
今年のkintone AWARDも大盛り上がり。内容が濃すぎて、1時間半という時間も短く感じるほど。改めて、kintoneのユーザーコミュニティの持つ熱量に圧倒されてしまった。来年2~6月に開催されるkintone hive 2019の登壇ユーザーもすでに受付を開始している。
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