中嶋氏は背景として、世界的に高まるスポーツ分野の投資トレンドを挙げる。スポーツテックへのベンチャー投資は2010年から2015年の間に投資規模が3倍以上で増えており、日本でも、2015年に5兆5000億円だったスポーツ市場規模を、2025年には約3倍の15兆2000億円規模にさせる目標を政府が掲げている。
スポーツ産業はスポーツコンテンツを中心に、チケット、スポーツ用品、施設、スポンサー、映像制作などのこれまでの市場範囲に加えて、AR/VR、データ/AI活用、IoT/ウェラブル、フィンテックなどのIT技術、さらには医療やヘルスケア、観光などの他の産業との交わりも予想されている。
「スポーツ産業はこれまでの概念にとらわれず、スポーツで稼ぎ、その収益をスポーツに還元するシステムを実現する――これを国として行なっていく中で、我々もスポーツの発展に貢献し、様々な人が参画するエコシステムを構築したい」と中嶋氏は願いを表した。
特にフォーカスしているのはIT技術で、スポーツの「する」、「みる」、「支える」の3つが募集テーマだ。
「する」では、プロだけでなくアマチュアを含めて選手のコンディションやパフォーマンスの改善につながるようなツール、アプリ、システム、デバイスなどが考えられるという。「みる」では、スポーツの視聴体験を高めるXR/VRやエンゲージのツールなどを例に挙げた。「支える」では、2020年商用化が見込まれる5Gの広帯域、高速、低遅延を活用するようなスタジアムのソリューションや決済ソリューション、さらにはヘルスケアやエンターテイメント領域にも広がるようなものも歓迎のようだ。