日本が空飛ぶクルマを進めるべき 経産省若手官僚が狙う産業革命
日本の官庁が本気で進める「空白の7年」を取り返すプロジェクトの背景を聞く
技術開発、プレーヤーの参入促進、インフラ・制度の整備、社会受容性の向上が課題
海老原氏は、「空飛ぶクルマの実現には、日本の既存の技術や産業が役立つ余地は大きい」と評価する。海外の事業者からも、日本のもつバッテリー、モーターといった要素技術、軽量化への素材技術、量産技術への期待度は高い。
しかし他方で、日本のなかでの動きはいまだ限定的だ。有志の団体であったCARTIVATOR(カーティベータ)は株式会社Skydriveを設立し注目されている(関連記事:「空飛ぶクルマが日本でも始動 課題とニーズを北海道から探る」)が、大企業の動きはまだ表には見えておらず、スタートアップも十分に加速しきれていない。せっかく市場に参入できる余地があるにもかかわらず、チャンスを逃すのは非常にもったいないように思える。
そもそも事業者にしてみれば、まったく新しい世界だけに参入に不安がある。そこで、経済産業省の役割は、事業者が参入しやすいように、予見可能性を高めることだ。
技術開発のほかに必要となるのが、離発着場、飛行エリア、安全基準といったインフラや制度の整備。また、社会受容性の向上も大きな課題だ。
法律的に空飛ぶクルマが飛ぶことを許可しても、住民が家のそばを飛ぶことを許してくれるのかどうかは別の話。新しいイノベーションが社会で実現されるためには、少しずつ社会受容性を高めていかなくてはならない。そこで、国交省と経産省の両省で「空の移動革命に向けた官民協議会」の第1回を8月29日、第2回を10月2日に開催し、4回目の12月末にはロードマップを策定する予定だ。