このページの本文へ

自律するクラウドへ、「Oracle Open World 2018」レポート 第2回

OOWで語られた「なぜ“第2世代のクラウド”が必要なのか」とOCIのIaaS戦略、日本リージョン開設時期も

オラクルIaaS新発表まとめ、セキュリティ統合やEPYCインスタンスなど

2018年10月29日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

AMD EPYC採用の安価なインスタンス発表、HPC向けRDMAクラスタネットワークも

 一方で、競合と比較した場合のコストパフォーマンスの高さもOCIの強みだと強調している。一昨年、昨年のOOWでもAWSをターゲットに高いコストパフォーマンスをアピールしていたが、今回はさらなる“隠し球”を用意していた。それはAMDの「EPYC」プロセッサだ。

 マグワイク氏のセッションにはAMD データセンター&エンベデッドソリューションズ部門 SVP&GMのフォレスト・ノロド氏が登壇し、EPYCについて紹介した。

 「AMDは現在のサーバーアーキテクチャの基礎となるさまざまな技術を生み出し、ハイパフォーマンスのCPUを開発してきた。しかし、従来のオンプレミスサーバーに対応するアーキテクチャは、必ずしもクラウド時代に適合するものではないと気付いた。そこで最もコア数が多く、かつ最も魅力的なTCOを実現する、優れたメモリ帯域やパフォーマンス、セキュリティ性を実現する、クラウドのプロセスを意識したプロセッサを開発した」(ノロド氏)

AMD データセンター&エンベデッドソリューションズ部門 SVP&GMのフォレスト・ノロド氏(右)

 マグワイク氏は、OCIがEPYCベースのベアメタルインスタンスを初めて提供するパブリッククラウドになると述べ、AWSとのコア当たりの価格差をさらに拡大すると語った。ベアメタルインスタンス(Eシリーズ)を1時間/1コアあたり0.03ドルの価格で提供する。スタンダードコンピュートコアどうしの比較でAWSより68%安く、従来のOCI価格比でも53%安い価格だという。

AMD EPYCプロセッサを採用したインスタンスを提供し、AWSとのコストパフォーマンス差をさらに広げるとアピール

 またHPC用途向けには、新たにRDMAのクラスタネットワークをテクノロジープレビューとして発表している。これは1.5マイクロ秒の低レイテンシ、100Gbpsの広帯域を実現するネットワークで、大規模なExadata構成のほか、AI/機械学習のためのGPUクラスタリングなど用途は幅広く考えられる。

 「われわれの目標は、同じクラスタネットワークでHPCのCPU、ストレージ、GPUをすべて接続するクラスタファブリックの構築だ」(マグワイク氏)

 マグワイク氏は、このRDMAクラスタネットワークを利用することで、HPCワークロードにおいてもコストパフォーマンス面でAWSとの大きな差がつけられるとアピールした。

低レイテンシ/広帯域のRDMAクラスタネットワークを提供し、大規模なHPCシミュレーションワークロードにおける高いコストパフォーマンスをアピール

リージョンをグローバルに拡大、東京、大阪のデータセンターは来年開設へ

 米オラクルでは今年2月にOracle Cloudのグローバルなデータセンター拡張計画を発表していたが、今回はその具体的な開設スケジュールについても明らかにされた。現在は北米、欧州の4リージョン(+米国政府向け2リージョン)だが、2019年末までに南米、アジア太平洋地域も含む合計17リージョンに拡大する。

 気になる日本リージョンについては、東京と大阪へのデータセンター設置が発表された。東京は2019年5月に、また大阪は2019年12月に開設予定だとマグワイク氏は説明した。すでに発表されているとおり、これらのデータセンターから、Oracle Cloudがラインアップするすべてのサービス群(IaaS/PaaS/SaaS/DaaS)が提供される。

Oracle Cloudのデータセンター拡張予定(2019年12月時点)。東京、大阪へのデータセンター設置が発表された。なお丸印は「OCI Edge」やDNSサービスを提供するPOP拠点

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード