このページの本文へ

OOWでIaaS担当のバイスプレジデントに聞く

オラクルの第2世代IaaSがAWSに勝てる理由とは?

2016年09月23日 10時00分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

米オラクルは、サンフランシスコで開催しているOracle OpenWorld 2016において、第2世代と呼ぶIaaS(Infrastructure-as-a-Service)「Oracle Bare Metal Services」などを発表した。ラリー・エリソン経営執行役会長兼CTOは、「AWSに比べて、コンピューティングコアは2倍、メモリも2倍、ストレージは4倍、I/Oキャパシティは10倍。それでいてコストは20%減。AWSは深刻な状況に陥る」と強気の姿勢で宣戦布告する。オラクルのIaaS戦略はどんな意味を持つのか。Oracle OpenWorld 2016の会場で、米オラクルのプロダクト開発担当のディーパク・パティル(Deepak Patil)バイスプレジデントに聞いた。

米オラクルのプロダクト開発担当のディーパク・パティル(Deepak Patil)バイスプレジデント

Azure開発メンバーが考える「IaaSの根本に立ち返る」こと

――なぜ、オラクルがIaaSに乗り出すのか。

ペティル:オラクルは約2年前からIaaSのサービス提供を開始しています。今回発表した第2世代のIaaSは、その継続性を維持しながら、新たな領域へと踏み出したものになります。新たなIaaSの開発のために、数100人規模のエンジニアをマイクロソフトやアマゾン、グーグルといった大手クラウドベンダーからリクルートし、開発を進めてきました。

私自身も、16年間に渡ってマイクロソフトに勤務していましたが、約1年前にオラクルに移籍しました。私は、Microsoft Azure開発の初期メンバーの1人で、これまでに、クラウド開発においてさまざまな経験をしてきました。その経験をもとに、IaaSの根本に立ち返るとともに、コンピューティング、ソフトウェア、ネットワークのすべてにおいて、これまでとはまったく異なる考え方を用いて開発したのが第2世代のIaaSとなります。つまり、新たな考え方をもとに開発された業界初のクラウドプラットフォームを構築できたといえます。確かに、いまはAWSがIaaSのリーダーですが、これからも市場拡大の余地は大きい。そのなかで、顧客に対して新たなIaaSの選択肢を用意することは、顧客が望んでいたことでもあったと考えています。

――第2世代という意味はなにか。ラリー・エリソン経営執行役会長兼CTOは、AWSは20年間追いつけないといっていたが。

ペティル:Oracle Bare Metal Cloud Servicesのリージョンは、可用性を備えた3つのドメインで構成されており、高可用性と高耐久性を備えたアプリケーションをクラウド内に構築することができます。3つのドメインにはそれぞれ障害隔離の機能が入っており、1つのリージョンのなかには、3つのデータセンターを含め、高い可用性を価値して提供することができ、仮に大惨事が発生した場合にも顧客のデータやサービスを守ることが可能です。

3つのドメインにはそれぞれ障害隔離の機能が入っている

また、第2世代のIaaSは、完全に仮想化されたネットワーク環境に置かれたベアメタルのクラウドサーバーが含まれており、これも顧客に大きな価値を提供することができます。こうした新たなデータセンターデザインおよびネットワークデザインを導入することで、コスト効果が高いサービスを提供できます。AWSの80%のコストで利用でき、それでいて、コアの数は2倍、メモリは2倍、ストレージは4倍、I/Oキャパシティは10倍という機能を提供することができます。これが大きな差別化になります。

――第2世代のIaaSの発表は、オラクルのクラウド事業にとってどんな影響を与えるのか。

ペティル:3つの影響があると考えています。1つは、これまでにないIaaSを提供できるようになったことで、データセンターを自ら管理したくないという企業にとって、新たな選択肢を提供できるようになったと考えています。2つめは、オラクルアプリケーションをさらに高速に活用できる環境を提供できるという点です。AWSに比べて、17倍のパフォーマンスを出すことができます。3つめには、オラクル以外のアプリケーションもサポートできる環境を実現した、オープンで、セキュアなクラウドプラットフォームであり、さまざまなOSやアプリが活用できます。オラクル以外のワークロードにも対応でき、それを低コストで稼働させることができるわけです。

AWSに比べて優れたコストと速度

AWSが価格を下げてきても、そこで戦うつもりはない

――IaaSはコモディティ化した領域ともいえるが、AWSとの価格競争を引き起こすことにはつながらないのか。

ペティル:価格は1つの要素でしかありません。顧客にとっては、価格がすべての要素ではなく、パフォーマンス、信頼性、セキュリティ、統合性といったものが重要です。オラクルは、優れたPaaSを、このIaaSの上で提供できますから、その点も大きな差別化要素のひとつになります。

――オラクルの発表を受けて、AWSが価格を引き下げる可能性もあるが……。

ペティル:オラクルは価格競争を引き起こそうとしているのではなく、これまでにない価値を提案していくことが狙いです。仮にAWSが価格を下げてきたとしても、そこで戦うつもりはありません。オラクルは、顧客にメリットを提供するために、さまざまな投資を引き続き行なっていきます。これがオラクルにとっても、顧客にとってももっとも重要なことです。オラクルは、新たなクラウドプラットフォームを作り上げる上で、ハードウェアやソフトウェアのすべてを、自らのスタックを利用しています。それによって提供できる価値を重視したいと考えています。

――オラクルのIaaSビジネスにおける最初のゴールはなにか。

ペティル:IT産業は、いままでになかったような変革の時期を迎えています。顧客は、データセンターを自分たちで持ちたくない、ネットワークも自分たちで構築したくない、信頼できる企業に預けてしまいたいと考えています。重視しなくてはならないのは、競合企業との競争の問題ではなく、顧客がなにを求めているのかを理解し、そのために我々はなにをすべきか、最高のものはなにかということを優先して考えなくてはならないという点です。妥協を許さないクラウドプラットフォームを作り上げることに力を注いでいます。

――最新四半期である2017年度第1四半期(2016年6~8月)の実績では、PaaSおよびSaaSの売上高は前年同期比82%増の7億9800万ドル、それに対してIaaSの売上高は同7%増の1億7100万ドルに留まっている。この構成比をどこまで引き上げたいか。

ペティル:それに対する目標は現時点で明確なものはありません。業界最高のベストなプラットフォームを、市場に対して提供することが最優先の課題です。IaaSの市場はこれから拡大をしていくのは明らかです。それによって売り上げ構成比も変化してくることになるでしょう。われわれが目指しているのは、オラクルが作った最高のプラットフォームを活用することで、顧客に喜んでもらい、顧客からいままでにできなかったことができるようになったと言われることです。顧客の幸せは、オラクルの幸せにつながると考えています。

■関連サイト

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    デジタル

    約3000人のハッカーが侵入できなかったpCloud すべてはユーザー自身のデータを守るため

  2. 2位

    ITトピック

    PC価格高騰で4割の企業が「調達を延期」/“謎のExcelマクロ”は業務継続リスク/日本のデジタル行政、利用率・満足度とも最低レベル、ほか

  3. 3位

    ITトピック

    「原則出社」命じる企業とテレワーク社員の意識ギャップ/“推し活依存”自覚するZ世代が2割/シニアの利用が盛んな○○アプリ、ほか

  4. 4位

    sponsored

    専門家が分析するSCS評価制度・153項目 中小企業に最適な対策のアプローチは?

  5. 5位

    sponsored

    高齢者をポットで見守る「みまもりほっとライン」 25年続く「サービスの温もり」とは?

  6. 6位

    ビジネス・開発

    首都高が「AIの高利用者」を1年で10倍に 非IT人材に刺さったGemini Notebookと“泥臭い”浸透策

  7. 7位

    データセンター

    600km超離れたデータセンター間でシステム全体を「完全自動復旧」 日立・NTTドコビジらが実証に成功

  8. 8位

    ビジネス・開発

    フィジカルAIの突破口、「現場データ」を価値に変えるソリューション

  9. 9位

    TECH

    「SCS評価制度」取得を目指す中堅・中小製造業のリアル 富士工業が考える「セキュリティは経営に役立つのか」の答え

  10. 10位

    TECH

    【提言】AIエージェントの“暴走”を防ぐには 安全なAI業務活用には対策が不可欠

集計期間:
2026年08月26日~2026年09月01日
  • 角川アスキー総合研究所