最下位SKUが8コアになったCore Xシリーズの底上げ戦略
Core i9-9980XEはスゴイの?詳細スペックから検討する第9世代Coreと次期Core Xの価値
2018年10月09日 04時30分更新
次期Core Xシリーズは7モデル、下位SKUに変化
次期Core XシリーズはCore i9-9980XE、Core i9-9960X、Core i9-9940X、Core i9-9920X、Core i9-9900X、Core i9-9820X、Core i7-9800Xの7モデル。型番が従来の「Core i9-7900系/Core i7-7800系」から、「Core i9-9900系/Core i7-9800系」に2段飛んでいるのが面白い。
また、対応プラットフォームはX299チップセット搭載マザーボードなので、おそらくBIOSアップデートを行なえば現行マザーボードでも使えるはずだ。
18コア~14コアの製品は動作クロック以外のスペックがほとんど同じだ。もちろん、Skylake-X Refreshでは放熱に有利なソルダリング仕様のため、OC時の冷却性能は現行Core Xとは比べるべくもないだろう。価格は据え置きなので、お買い得度は上がっている。
しかし、12コア~10コアのラインでは上位SKUと様相が異なる。10コアのSKUが9900Xと9820Xの2種類あり、L3キャッシュの容量と動作クロックが異なるSKUとして位置付けている点に注目してほしい。また、Skyalake-Xでは12コア以下のモデルのTDPは140Wだったが、Skylake-X Refreshではすべて165Wに上がっている点も見逃せない。
Core i9-9820XとCore i7-7820Xでは、ブランド名もコア数もPCI Express 3.0のレーン数も上がっており、シリーズ全体を底上げしていると思われる。つまり、Core i9-9820Xはこれまで空席だった599~989ドルの間に放り込まれた競合製品対策SKUなのではなかろうか。
最下位製品も2コア増でPCI Express 3.0のレーン数も上位と同等まで増やしている。ここで気になってくるのが、Core i9-9900Kの存在だ。定格クロックやメモリーチャンネル数、PCI Express 3.0のレーン数ではCore i7-9800Xに劣るものの、ゲーミングで有利なTB時の最大クロックや101ドル安の価格設定を考えると、Core i9-9900Kはすさまじく魅力的な選択肢に見えてくる。
しかも9800Xはあくまで「Core i7」ブランドだ。多くのユーザーからは「Core i9」ブランドの9900Kのほうが煌びやかに見えることだろう。そういう意味では、今回のSkylake-X Refreshの最下位SKUは底上げされてはいるものの、メインストリーム最上位のCore i9-9900Kをより輝やかせる高度な戦略的SKUだと思うのは筆者だけだろうか。
というわけで、現行世代とのスペック比較で論じてきた第9世代Coreと次期Core Xシリーズだが、ベンチマーク前の筆者の感想をまとめると「物理8コアならCore i9-9900Kを買うべき」だ。上述のように、プラットフォーム的な優位性はCore Xにあるものの、価格差を考えるとCore i7-9800XはあまりおいしいSKUではない。もちろん、Core i7-7800Xからの買い替えならアリだが、ここからHEDTを選択するなら、上位SKUを買ったほうが性能差を気にせず穏やかに過ごせるはずである。
では、Core i9-7980XEを買った筆者のようなエンスージアスト諸君はどうすれば良いか。無論、「迷わずCore i9-9980XEを買うべき」である。スペックを見ているだけでは、動作クロックが微増しただけのお値段据え置きCPUではあるが、「ソルダリング」この1点において9980XEは超魅力的な選択肢だ。
というのも、18コアというメニーコアCPUではOC時の温度の跳ね上がり方は異常で、筆者も殻割してなんとかかんとかAll Core 4.6GHz OCで常用という具合だ。それがソルダリングになることで、殻割のリスクを避けて(OC行為も補償外ではあるが……)気軽にOCできるはずだ。ゆえに、9980XEへの買い替えは全然アリだろう。
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