タッチパネルに触れずに操作 低コストで量産できる空中ディスプレー「ASKA 3Dプレート」
コンシューマー向けに新しい発想での活用を模索!
9月14日、赤坂インターシティAIRにて「IoT&H/W BIZ DAY 6」が開催された。空中ディスプレー「ASKA3Dプレート」を開発するアスカネットは、組み込み向け「樹脂製ASKA3Dプレート」を展示。スタートアップの出展者や来場者にサンプルを触って体験してもらい、コンシューマー製品での活用アイデアを募っていた。
大量生産品への組み込み向け「樹脂製ASKA3Dプレート」
アスカネットの「ASKA3Dプレート」は、写真や立体物を特殊構造のプレートを通して結像することで、空間に実像を表示する装置だ。空間ディスプレーの仕組みは、2面コーナーリフレクターの原理を応用したもので、プレートを対称軸にして、写している物体と1対1の大きさで空間に光を集めて表示する。
これまで大型サイネージ向けのガラス製ASKA3Dプレートのみを提供していたが、新たに低コストで大量生産が可能な樹脂製ASKA3Dプレートを開発。アスカネット エアリアルイメージング事業部 企画・生産管理チーム マネージャー 大西康弘氏によると、樹脂製ASKA 3Dプレートは、タブレットやスマホ向けのデバイスやアクセサリーへの組み込みを前提に、コンシューマー市場での活用を目指しているという。
視点が動いても像の位置は動かないから操作しやすい
ASKA3Dプレートの特徴は、ゴーグルなどをかけずに誰でも空中像が見られることと、センサーと組み合わせることで、実物には触れずに空中像に対してタッチ操作できる点だ。3次元センサーを使えば、立体像を手の動きで回転させる、といった操作も可能だ。
「たとえば、回転寿司などのタッチパネル式の注文システムでは、手づかみで食べることもあり、細菌感染などの衛生面が気になります。空間ディスプレーとセンサーを導入すれば、お客さんも安心して使えますし、本体が汚れないので管理も楽です」と大西氏。
ASKA3Dプレートは、その構造上の特性から、センサーを用いたインターフェースとの親性が非常に高い、と大西は説明する。
「一般的にホログラムと呼ばれるVRやARの映像は、あたかもそこに浮かんでいるように見せている“虚像”です。しかし、ASKA3Dプレートは、物体そのものが放つ光を収束し、空間上に映し出す“実像”なのです」
目の錯覚を利用したものではないので、立体感をとらえやすい。VRやAR映像は、目線を動かすと像の位置も動いてしまうため、センサーの検出位置と見えている像との位置がずれやすい。ASKA 3Dプレートの空中像は、ユーザーの目線がずれてもスイッチやボタンの位置などは変わらないので、センサーによる操作に適しているのだ。
会場には、プレートを使った例として、遺影写真を空中に表示した焼香台、センサーと組み合わせて触れずにボタン操作ができる動画ディスプレーや血圧計などを展示。
飲食店のタッチパネルのほか、医療機器の操作画面、手袋を外せない工場内の操作パネルといった用途が想定されるが、さらに、タブレットやスマホと空中ディスプレーを組み合わせたゲームやサービスなど、コンシューマー向けに新しい発想での活用を模索しているそうだ。