Googleアカウントなしでも
よく使われるアプリは導入できる
「観光コンテンツ」については、「Tokyo Tourist Information」や「MATCHA」「LUXOS」といったインバウンド向けメディアの記事が見られるようだ。
ただ、中国語簡体字を言語として設定しておきながら、Handy上では英語でしか表示されなかった。
中国語コンテンツがあるのに中国語対応していない点には詰めの甘さを感じたが、中国人向け以外ならアリだろう。
おそらくはだいたいの海外旅行客はTripAdvisorなどから情報を得るのが一般的だろうが、TripAdvisor以外の両サイトから情報を得られるという意味でもこのスマートフォンの存在は有用であろう。
「アプリインストール可」は、その文字の通りであり、Google Playから必要なアプリがインストールできるし、あらかじめ「Facebook」「twitter」「Instagram」「Google翻訳」「TripAdvisor」「Skype」「Pintarest」「WeChat」「QQ」などをインストールするためのアイコンが用意されている。
Google Playを使う場合はGoogleアカウントの登録が必要となり、手間と時間がかかる。インストールアイコンがあることで、その回避策も用意されているわけだ。
今回の記事執筆にあたり、AnTuTuをインストールし実行したが、旅先のホテルでインストール作業なんて旅の同行人がいれば、普通は許してくれそうにない。
Google Playからのアプリインストールはできるが、あくまで「できること」程度にとらえるほうがよさそうだ。
そもそもGoogleアプリに慣れていない中国人には使いにくい
デフォルトの「Handy(専用)ランチャー」上には、「IP電話」「観光情報」「YouTube」「Google Map」「Google Chrome」「Google Playストア」のアプリが登録されている。
電話をかけて、見どころや評判のレストランへのナビゲーションができて、観光情報が見られるわけだ(欲を言えばGoogle翻訳もデフォルトで使えてもいいと思った)。
スペック相応に動きはもっさりするし、テザリングはできないというマイナス面はあるが、電話やちょっとした観光情報確認など、用途を限定すればよさそうに感じた。
一方、中国人視点で考えてみると実に使いづらく、そして中国人向けに使いやすくするのは大変難しいとも思った。
中国ではTwitterやFacebookやYoutubeなどをシャットアウトしているのは知られているが、Googleもまたシャットアウトしているため、Google MapもGoogle Playも中国のスマートフォンに入っていない。
Googleのサービスをほぼ使った経験がない中国人に、いきなりホテルで異なるアプリばかりの世界標準のスマートフォンを借りて外で使いこなそうというのは、ギーク以外難しい話である。
そもそもGoogle Playにはアップされておらず、中国独自のアプリストアにしかない中国のアプリも普通にある。
だからそもそも「日本にようこそ」という外国人向けの広告で、「Google Playからダウンロードしてください」系のアプローチでは中国人にまるで通じないのである。
中国人がレンタルスマホを使わないのは
電話番号とアプリと電子決済が紐づいているから
日本に観光に来る中国人は、中国で必須のアプリが入った中華スマホをそのまま持ってきている。
定番のアプリを考えるに、中国の検索アプリの「百度」や地図アプリは登録なしで利用できるが、海外情報にはめっきり弱い。
だからといって中国のアプリが日本でまるで使い物にならないかというとそうでもない。
電子決済の「支付宝(AliPay)」やSNSの「微博(Weibo)」、口コミクーポンサービスの「美団(Meituan)」など、さまざまな定番サービスが位置情報を受けて日本旅行情報に切り替わる。
「Ctrip」「飛猪」などの人気旅行サイトを見ると、日本や外資の旅行サイトよりも安くホテルが予約でき、支付宝や微信支付といった電子決済でチケットが安く買えるので利用勝手がいい。中国人は外国旅行に行く際も中国のアプリがマストになるわけだ。
しかも中国では、実名登録で得た電話番号で各アプリを登録する仕組みとなっており、中国国外の電話番号があったところで登録できない。
さまざまな使えるアプリが絡みあい、電子決済と紐づいて初めて真価を発揮するわけだ。
仮に数日利用可能なレンタルスマートフォンがあって、上記の人気アプリがインストールされていたとしても、それぞれのアプリでログイン作業を改めてするのは面倒だ。
中国人観光客は無視できないほどやってきているが、だからといって彼らに喜ばれるデバイスを貸すことは難しい。せいぜい中文での観光情報を提供するくらいしかないようにも思える。
改めて中国人が日常的に使うアプリは、1つのスマートフォンに密接に関わっていて、それ以外のスマホを使わせるのは難しいと感じた。
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