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ASCII西日本豪雨ルポ 第2回

西日本豪雨 無事だったSSD

2018年08月26日 11時00分更新

文● Imaha486(@Imaha486

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●水害対策にSSD!?

 私が今回、取引先で水没したPCのデータ救出にあたった中で驚かされたのは、HDDが壊滅的だった一方、SSDは難なく救出できたことです。

 SSDといえば、高速性と引き替えに容量あたりのコストが割高だったり、フラッシュメモリのセル書き換え回数超過による故障リスクなどの理由で、データ保管には適さないメディアというのがこれまでの常識でしたが、私が西日本豪雨で水没を確認したSSDはいずれも「SATA端子についた泥を洗い流すだけで復旧可能」という結果となりました。

 たしかに私自身、USBメモリーをポケットに入れたままうっかり洗濯機にかけたあと、普通に陰干しするだけで復活した経験はありました。しかし、決壊した堤防から流れ込んだ泥水に沈んだSSDが復活するというのは完全に想定外でした。

 このことから、SSDには耐衝撃や高速化という目的に加えて、新たに「水害対策」においてもアドバンテージが出てきたと言えます。いずれはそういったニーズも踏まえ、防水機構やサージプロテクトを備えた耐候性の高い製品も出てくるかもしれません。

 1つ気をつけなければならないのは、今回生存を確認したSSDはいずれも端末の電源がオフの状態で、なおかつ電気抵抗の大きい淡水への水没だったために助かった可能性が高いということです。ノートパソコンの電源を入れたまま海に落としたり、キーボードにコーヒーをこぼすなどして内部ショートを起こした場合は、SSDの基板そのものが破壊されて復旧不能に陥る危険性があります。

 また、HDDと同じく水没後に長時間放置するなど不適切な処置によって腐食する恐れもありますし、NANDフラッシュメモリの特性として無通電状態のまま長期間放置すると放電でデータを消失することもあります。必ずしもSSDが万能的なデータ保存メディアではないという認識は必要でしょう。

SSD(左)とHDD(右)の内部構造。SSDは駆動部品を持たないため、HDDに比べて、水や泥の混入によって直接アクセス機構を破壊されるリスクが低い。これが生還につながった可能性が考えられる(写真のSSDはSamsung 840 EVO)

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