アップル「iPhone 8」を実質0円で販売する店もあった
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの決算が出揃った。いずれも「増収増益」であり、スマホブームが一段落したと言っても、依然としてキャリアが儲かっている構図が浮かんでくる。キャリアの決算会見を取材していてふと思う。最近、総務省が「キャッシュバック」や「0円端末販売」を規制していたが、本当に良かったことなのか。かなり疑問を抱いてしまうのだ。
キャッシュバック廃止で黒字化
たしかに最新のスマホが0円で購入できたり、MNPで乗り換えれば数万円分の商品券などがもらえるという構図は行きすぎた感があった。しかしそれも顧客の獲得競争の1つであることは間違いない。
キャッシュバックに関しては、特にNTTドコモが「仕方なくやっている」という雰囲気を醸し出し「キャッシュバックは不健全であり、できればやめたい」というスタンスをとっていた。NTTドコモはシェアが高く、ユーザーを囲い込むことに精一杯なキャリアだ。他社がキャッシュバックで攻めてくれば、対抗せざるを得ない。キャッシュバックによる顧客獲得合戦がなくなれば、ユーザーは流出せず、安定した経営ができるようになる。NTTドコモが真っ先にキャッシュバックに反対するのも無理はない。
一方、攻める立場のソフトバンクやKDDIはキャッシュバックに前のめりであった。特にKDDIは、当時の田中孝司社長が「割と気持ちいい、適切なキャッシュバック」という名言を残すほど、キャッシュバックでの顧客獲得に注力していた。
しかしそれも長くは続かず、ソフトバンクは総務省の会議などで「できればやめたい」と本音を漏らすなど、キャッシュバック戦争から逃げ出したい感があった。
キャリアがキャッシュバックを嫌がるのは、収益に大きな影響を与えるからだ。実際NTTドコモの決算を振り返ると、ここ数年、端末機器販売収支は年間で数百億円規模のマイナスを計上し続けていた。
しかし8月1日発表の2019年3月期第1四半期決算を見てみると、販売関連収支は40億円のプラスに転じている。
これまで端末販売は赤字だったはずが、ここ最近は見事に黒字となっているのだ。
KDDIも、5月に開催した決算説明会で「端末販売手数料が下がったことによる端末販売収支の改善があると考えている」と発言。
つまり、キャリアが儲かっている背景には、キャッシュバックの廃止などで端末販売手数料が下がったことが1つの要素としてありそうだ。

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