動的リソース管理製品「CA Dynamic Capacity Intelligence」の導入前~運用までの包括ソリューション
CA、メインフレームのコスト最適化製品でJIECと戦略的協業
2018年08月10日 07時00分更新
日本CA(CA Technologies)は2018年8月9日、IBMメインフレームの動的キャパシティ管理によりコスト最適化を図る製品「CA Dynamic Capacity Intelligence(DCI)」の国内販売に関して、メインフレーム基盤の構築/保守運用を手がけるJIEC(SCSK子会社)との戦略的協業開始を発表した。多数のメインフレーム基盤技術者を抱えるJIECが、DCI導入前のアセスメントから導入後の運用までをパッケージソリューション化し、国内市場で共同提案を展開することでDCIの導入案件獲得を狙う。
CA DCIは、メインフレームのキャパシティ(リソース使用率)を継続的に監視し、各ワークロードへのリソース割り当てをインテリジェント/自動的に変更することで、サービスレベル(SLA)を維持しながら保有するリソースの使用効率を高め、IBMメインフレームの月額ライセンス費用(MLC:マンスリーライセンスコスト)を最適化する管理ツール。米CAが2017年に買収した独zIT Consultingの技術をベースとしている。
具体的にはCA DCIコントローラーが、各論理パーティション(LPAR)から15秒ごとにリソース(MSU)の使用率データを収集し、過去の使用率変動なども統計分析したうえで、空きリソースのあるLPARからリソースを増やしたいLPARへの移動処理を自動的に行う。
LPAR間でリソースを融通し合うこの処理においては、LPAR内で動作する各ジョブに設定されたポリシーも勘案される。このポリシーには、ジョブごとの優先度(遅延を許容するか否か)と、それを適用する時間帯のカレンダー(夜間や月末のバッチ処理など)が設定されており、リソース変更によってワークロードのサービスレベルを落とさない工夫がなされている。
DCIの製品紹介を行った日本CA シニアディレクターの丸山智之氏は、メインフレームコストを削減するためには「(保有する)CPUリソースの“空き時間”をいかになくし、効率的に活用するかがカギ」だと述べる。これまでそうしたチューニングはベテラン管理者の“勘と経験”に基づき手作業で行われてきたが、高いサービスレベルを要求するワークロードに関しては、どうしても余裕を持たせたリソース割り当てを行わなければならなかった。DCIでは「過去の実績に基づき、動的な最適化が行える」(丸山氏)ため、さらなる効率化が期待できる。
グローバルでは昨年1年間で26社がDCIを導入しており、導入前比で「MLCを平均10%削減できている」と丸山氏は語った。さらに、今後“勘と経験”を持つメインフレーム技術者が減少していくなかで、その作業を自動化できる副次的な効果も生まれるだろうと述べる。
今回の戦略的協業では、JIECがこのDCIを組み込んだ「キャパシティ運用管理ソリューション」を提供する。JIECのメインフレーム基盤技術者が、DCIの導入と運用だけでなく、導入前の現状分析やアセスメントの実施、導入時のOS設定チューニングなどのサポートまでをひとまとめに手がけるパッケージソリューション。JIEC 代表取締役社長の印南淳氏は、事前調査の実施からDCI運用開始まで、およそ2~3カ月で実施することを目標としていると語った。
「CAと協業を話し合うなかで、欧米市場では昨年1年間で26社がDCIを導入したと聞き、これは相当な“キラーソリューション”だろうと考えた。日本市場ではまず1社、2社が導入すれば加速していくものと考えている。(導入社数を)今年(2018年)中に1、2社、来年には2ケタに乗せられたら」(印南氏)
日本CAでは、今年度(2019会計年度)の事業戦略における注力ポイントのひとつとして「メインフレームビジネスへの積極投資」を掲げている。日本CA 代表取締役 社長の反町浩一郎氏は、グローバルのメインフレーム市場が成長を続け、利用用途が拡大していること、国内顧客においても「メインフレームの新しい用途への適用」という動きが見られることなどを紹介したうえで、メインフレーム管理製品においては新たな市場動向に対応した「変化」が必要であることを説明した。