落雷と同時に起こることが非常に多く、雷サージとは別にPCやNAS、外付けHDDなどのデータにダメージを与えるのが、「停電」による予期せぬPCなどのシャットダウンだ。
電源断時にHDDへ読み書きしていなければ、ストレージデバイス自体へのダメージはあまり心配せずとも大丈夫だが、保存前のデータに関しては、確実に消失し、最悪、数時間かけた作業やゲームプレイが無駄になる。
そんな事態を起こす停電発生時に、作業中のデータを保存し、PCなどを正常にシャットダウンできるようにするのが無停電電源装置(UPS)になる。
無停電電源装置こと、UPSにはバッテリーが内蔵されており、停電を検知すると自動的にバッテリーからの電力供給に切り替わるようになっている。また、PCとUPSをUSBやシリアルポート(専用ケーブルでオプションのこともある)などで接続することで、電力供給がUPSに切り替わった際に、自動でPCやNASをシャットダウンするといったことも可能になっている。
UPS選びはここをチェック
UPSの基本的な役割は、突然の停電時に作業中のデータを保存しつつ、PCやNASなどを正常にシャットダウンするために使用するバックアップ電源になる。
そのためもともとの需要は、ファイルサーバーなどを持つ企業などで、高いスペックや保証面もあり、それなりに高価だった。ただ、東日本大震災での輪番停電(計画停電)を契機に注目を集め、手が出しやすい価格帯、ホームユースを想定した製品が、グッと増えた感じだ。
そんなUPS選びで重要なポイントは、普段耳にしない用語も多い。ここからはUPS選びの際に注意したい点を紹介していこう。
出力波形の「正弦波」と「矩形波」
まず重要なのは、UPSの「出力波形」(バッテリー出力波形)で、「正弦波」と「矩形波」の2種類がある。ひと昔前は、PCやデジタル機器は「矩形波」が主流だったためUPS選びの悩みどころだったが、昨今は自作PCを含め電源ユニットにActive PFC(力率改善)回路が備わり、一般的な家電製品(家庭用電源コンセント)と同じ、「正弦波」になっている。UPS側もほとんどは「正弦波」を採用しているので、まず大丈夫だが、念のための確認は必要だ。
給電(運転)方式
続いては、UPSに接続した機器への給電方式だ。価格に影響するが使用する環境に合わせて、じっくり考えて選びたいところだ。
コンシューマー向けのモデルに採用されていることが多いのが「常時商用給電方式」になる。UPSを接続したコンセント(家庭用では100V)からの電力を、そのままスルー出力し、バッテリーへの充電も同時に行なう。バッテリー給電へ切り替わる際、瞬断が起こってしまう。
2つめは「ラインインタラクティブ方式」だ。「常時商用給電方式」と基本構造は同じだが、100Vの電圧を安定して供給できるようにする「AVR(電圧安定化)機能」を備えている。電圧が不安定な環境の人は、導入することで停電対策、雷サージ対策、安定した100V出力の3つの恩恵を受けられる。
「常時商用給電方式」と「ラインインタラクティブ方式」は、仕様上、バッテリー給電へ切り替わる際に、瞬断が発生するので注意が必要となる。
ただし、オムロンは停電時に10msec以内でバッテリー給電に切り替わるとしており、一般的なPCやサーバーなどでは問題はないとしている。
最後の給電方式は、瞬断や電圧変動をさけたい企業向けの製品に採用されている「常時インバーター方式」になる。正常に電力を供給されている間も、UPS内のインバータを経由して出力する。そのため、常に安定した電圧での給電が可能で、バッテリー給電に切り替わる際の瞬断もない。高価になるが、安心には変えられないところだ。
使用環境に合わせて出力容量やコンセント数を選ぶ
最後は出力容量になる。PCや液晶ディスプレー、NAS、ネットワークハブ、外付けHDDケースなど、接続する機器の総容量を計算して、総容量よりも大きな出力を持つ、UPSを選べばオッケーだ。
CPU内蔵GPUやローエンドGPU搭載ビデオカードを使ったPCとフルHD液晶ディスプレーで、オフィスアプリでの作業中に保存とシャットダウンするなら、330W/550VAクラスの製品で十分と言える。もちろん、今後に備えて、700W/1200VAクラスの出力を備える製品を購入しておくのもオススメだ。
接続する機器の使用容量は仕様書などで確認できるが、組み合わせ自由自在な自作PCの場合そうはいかない。搭載しているパーツの種類、名称などそれなりの知識は必要だが、MSIが公開している電源容量計算機を活用することで消費電力を確認できる。また、コストがかかるが消費電力をスマホで確認可能にするBluetoothワットチェッカー「REX-BTWATTCH1」もオススメだ。
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