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業界人の《ことば》から第303回

アップルとパナソニックのレッツノート 顧客の支持率を二分か

2018年07月19日 09時30分更新

文● 大河原克行、編集●上代瑠偉

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パナソニックが培ったノウハウを現場に

 この働き方改革支援サービスは、樋口社長が「コネクティッドソリューションズ社が、もっともフォーカスすべきエリア」に位置づける「現場プロセスイノベーション」にも関わってくることになりそうだ。

 現場プロセスイノベーションとは、パナソニックが製造業として培ったノウハウやロボティクスの技術などを活用することで、顧客の「作る」「運ぶ」「売る」のプロセスを革新。製造業だけでなく、物流、流通、小売りなど、あらゆる業種において、現場やサプライチェーンを改善。現場業務の生産性向上と継続的な価値創出で、顧客の事業の成長に貢献することを目指すものだ。

 樋口社長は「現場に寄り添ってきたパナソニックだからこそ実現できるものである。パナソニックのDNAは、顧客とのラストワンマイルまで寄り添ってお役立ちをし、ベタなところまで一緒になってやり、決して逃げないということ。現場プロセスイノベーションは、あらゆる顧客、あらゆる業界の現場をイノベートするものであり、コネクティッドソリューションズ社がやっているすべての事業を包含するものになる」とする。

 この発言からも、レッツノートが得意とするオフィスも「現場」の範囲に入ってくることになる。

 海外では「カイゼン」や「カンバン」という言葉がそのまま使われていることは有名だが、最近では「ゲンバ」という言葉が、海外のアカデミックの世界で使われはじめているという。樋口社長は「現場プロセスイノベーションの名称は、そのまま海外でも使っていくことを前提に決めた名称」とも語る。

新たな差別化ができるのか?

 現場プロセスイノベーションは、ハードウェア単体ビジネスから、ソリューションビジネスへの転換を示すものともいえる。

 パナソニックは、レッツノートでの働き方改革支援サービスとの組み合わせのほかにも、タフブックでは、堅牢ハンドヘルドに流通/物流向け決済アプリを連動したり、車載ソリューションを組み合わせたりといった提案を開始し、成果をあげている。

 「ハードウェアは1番後ろに構える形態がいいが、まだハードウェアの売上高が大きい。モノとモノ、ハードウェアとソフトウェア、ソリューションとリカーリングの組み合わせで、きっちりとマネタイズが可能なソリューションにフォーカスすることで、事業を拡大させていく」とする。

 樋口社長は、これまでのレッツノート事業を振り返って「PCがコモディティー化するなかで、よくぞコモディティー化せずに、ビジネスモバイルというカテゴリーを築き上げたといえる。決して安い商品ではないが、多くの人に認めてもらっているのが強みだ。もし、売り上げ拡大だけを追求していたらこうはならなかっただろう。基板から国内で一貫生産する徹底し、信頼性の高いモノづくりにこだわってきた。ここまでのこだわりがなかったら、他社と同じようになっていただろう」とする。

 その一方で、「ハードウェアだけでは付加価値を提供することが難しくなっている。働き方改革支援ツールなどのソフトウェアと組み合わせて、ソリューション化やリカーリングビジネスによる展開を進めていくことが重要だ」とする。

 これまでのレッツノートのビジネスを「レッドオーシャンになるとみられる市場における好例」と位置づけ、「こうした領域を築けるのであれば、他の製品でも築きたい」とする。

 レッツノートがこれからも成長し、事業が継続するためには、これまでと同様にレッドオーシャンのなかでも差別化できる要素が必要。その答えはソリューションということになるのだろう。新たな差別化とはなにか。それを見つけるのが、樋口社長に課せられたテーマだといえる。

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