スマートフォンの広告と言えばメーカーによりさまざまなものが見受けられます。しかし、中国ではいまや広告がパターン化してしまっています。右も左も似たような広告ばかりがならび、一見するだけではどのメーカーの広告なのかわかりにくくなっているのです。数年前からOPPOとVivoが始めた、芸能人がスマートフォンを片手にこちらを見る広告をどのメーカーも右へ倣えと模倣しているのです。
カメラ部分全体を電動でスライドさせるギミックで世間を驚かせたOPPOの「FIND X」。OPPOはサッカーのFC Barcelonaのスポンサーになったこともあって、FIND Xの広告にはあのネイマールを採用しています。また、以前は街中に広告などほとんどなかったシャオミも、今は男性アイドルが自撮りを促す広告が目立ちます。シャオミもとうとう市場の流れに飲み込まれてしまった感じです。
実は、今年1月に「ファーウェイやOPPO、そしてアップル───スマホ各社の広告を深センに見る」と題して、深センのスマートフォンメーカー各社の広告を比較した記事を書きました。その時はメーカーごとに広告展開の方向性に差が見られましたが、それから半年たった今、どのメーカーも同じテイストの広告を打つようになってしまったのです。
LeicaカメラのHUAWEI P20シリーズが好調なファーウェイも、下のラインのnovaになると芸能人頼みになるようです。ファーウェイショップの店頭にはこんな広告が。後ろに見える端末だけの広告よりも、手前のPOPのほうについつい目が行ってしまいます。
これらの芸能人=アンバサダーを使った広告は、その芸能人のイメージがそのまま端末イメージを表すことになります。一歩間違うと違った印象を与えてしまいますが、とにかく誰かしらを使って端末をアピールする、という風潮が今の中国スマートフォン市場のようです。
Honorは端末のモックを見ても、ずらりと芸能人の顔が並びます。もはやアンバサダー無しでは端末の広告展開は成り立たないのでしょう。芸能人のファンはこのモックアップを入手しようと躍起になっているのかもしれません。なにせ本物のスマートフォンには芸能人は出てきませんから。
中国国内のシェアが下落してからなかなか浮上できないサムスン電子も、ついにアンバサダー広告を出しました。大人の女性のイメージで「Galaxy S9」を上品かつ高級な製品として売り込みをかけているのでしょう。サムスン電子の広告はグローバルでほぼ同じものが展開されていますが、中国だけは独自の広告を出しているのです。
街中の家電量販店やキャリアのお店に入っても、類似の広告を見かけることがあります。こちらは2Gの簡単ケータイなのですが、広告のパターンは他社と同じですね。
さて、アンバサダー広告をOPPOと共に数年前から展開しているVivoは、冒頭の写真のように端末だけの広告も出してきました。新世代のスマートフォン「NEX」のアピールは今までとは異なるイメージが必要ということなのでしょう。しかし、いくつかあるパターンの広告の一部には宇宙飛行士が写っています。さすがにこれはアンバサダーとはいわないでしょうが、何らかの人物を使った広告も出さないと心配なのかもしれません。
ここまで似たような広告が並んでしまうのは、もはやスマートフォンは芸能人が広告塔にならなければなかなか売りにくいのかもしれません。価格ごとに機能や性能に差はあるものの、ミッドレンジクラスの製品でも十分実用性のある製品が増えています。スマートフォンは機能で選ぶのではなくイメージで選ぶものになりつつあるのかもしれません。
各メーカーの担当者は次の新製品にどの芸能人を使うべきなのか、毎回頭を痛めているのでしょう。外野の人間としては次に誰が使われるのかを推測するだけでも面白いのですけどね。
「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!
長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!
「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!
→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む
★ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。
この連載の記事
-
第780回
スマホ
AQUOS R9 proのカメラ周りをドレスアップ! フィルター装着で広がるスマホの楽しみ方 -
第729回
スマホ
激薄折りたたみ「Galaxy Z Fold Special Edition」のケース3種類を試す -
第728回
スマホ
Xiaomi 14Tにフィルター装着できるMagSafeケース、香港の予約特典に登場 -
第727回
スマホ
Galaxyの2025年モデルがいよいよ登場「Galaxy A16 5G」が販売開始 -
第726回
スマホ
1700万円のシャオミ製スーパースポーツEV「SU7 Ultra」を広州モーターショーで見た -
第725回
スマホ
この冬一番の注目スマホ、超薄型折りたたみの「心系天下W25」がサムスンから登場 -
第724回
スマホ
駅名ごとGalaxy! クアラルンプールの「Samsung Galaxy駅」がスゴすぎた! -
第723回
スマホ
レトロデザインが可愛すぎる!? Nokiaケータイ風リュックの良さを知ってほしい! -
第722回
スマホ
iPhone 16発売直後の深セン、中国でも中古買い取りショップと転売が盛況 -
第721回
スマホ
日本と変わらぬ熱気がスゴイ! 中国・深セン版「ポタフェス」に行った -
第720回
スマホ
USBケーブルや電源プラグに4G内蔵も! 進化するモバイルルーターたち - この連載の一覧へ