VDIより安価なセキュアリモートワークPC環境「Flex Work Place Passage」を3社で共同展開
“データレスPC”普及に向け、CSIと横河レンタ、レノボが協業
2018年06月22日 07時00分更新
CSIソリューションズ、横河レンタ・リース、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズの3社は2018年6月21日、横河レンタ・リースの「Flex Work Place Passage」を活用した業務PCソリューションの拡販に向けた協業を開始した。セキュアなリモートワークPC環境を実現する“データレスPC”ソリューションの普及に向け、共同で幅広い取り組みを展開していく。
横河レンタ・リースが2013年から開発/提供するFlex Work Place Passage(以下、FWP Passage)は、Windows PCの全ユーザーデータをローカルドライブではなくファイルサーバー/クラウドストレージに自動保存するソフトウェア。サーバーを用意し、通常のWindows PCにエージェントソフトをインストールするだけで、PC上にユーザーデータが一切残らない“データレスPC”が実現する。
これを業務PCに適用することで、リモートワーク実施時のPCの盗難や紛失に伴う情報漏洩を防止できる。さらに、PC端末リプレース時のユーザーデータ移行の手間が省けること、ローカルドライブ故障時にもデータ消失のおそれがなくすぐに業務復旧できることなど、業務PC管理上のメリットもある。
従来、リモートワークにおける情報漏洩リスクを回避するソリューションとしてVDI(仮想デスクトップ)が採用されてきたが、導入コストが高いことに加えて、オフライン利用できないこと、処理性能が不安定になりがちなことなどが阻害要因となり、あらゆる規模の企業で幅広く導入されるには至っていない。
横河レンタ・リース 営業統括本部長の吉谷清氏は、FWP Passageはこうした従来のVDIが抱える課題を解決するソリューションだと説明した。通常のWindows PCとファイルサーバー、Active Directory環境があればシンプルに導入でき、ある大手企業の導入事例では「VDI比でコストが10分の1になった」と語る。
Windows PCやWindows Serverのリプレース時期もにらんで提案
今回の協業における3社の役割は、横河レンタ・リースが開発元、CSIソリューションズがソリューション販売およびインテグレーション、レノボがマーケティング支援となっている。
CSIソリューションズ ビジネス開発本部長の國居將隆氏は、同ソリューションの顧客ターゲット層として、従来のVDIではコスト的な敷居が高いと考えていた企業や、CADやソフトウェア開発など高いPC処理性能を必要とする企業などを挙げた。さらに、PC端末リプレース時のデータ移行作業が必要なくなるため、業務PCのWindows 10移行を控えた企業にも提案していく。「まずは今年度50社を選出し、重点的に営業をかけていく方針」(國居氏)。
また同社は「働き方改革」に早期から取り組んできたSCSKグループの一員であり、幅広い「働き方改革」関連ソリューションの販売とインテグレーションも行っている。SCSKグループ各社との連携による顧客へのクロスセル、さらには「働き方改革」関連製品を持つISVとの販売エコシステム構築(相互販売)の取り組みも進める。
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 製品・パートナー営業統括本部長の橘一徳氏は、今回のソリューションについて「コストと使い勝手、セキュリティのバランスが良いソリューション」だと語り、まずは3社が共同検証したリファレンスアーキテクチャを「どこでもWORK 太鼓判ソリューション」として公開開始したことを説明した。
橘氏によると、今後はさらに「Lenovo Togetherセミナー」やデジタル/Webマーケティングの共同実施、そして共同営業活動も展開していく方針。Windows 7 PCだけでなく、2020年にはWindows Server 2008の延長サポート終了も控えており、サーバーのリプレースタイミングに合わせた提案も行っていく。
なお、今回3社が共同展開するのはサーバー側ソリューションが中心であり、PC端末は顧客企業のニーズに応じて選択できるため、必ずしもレノボ製PCに制限されるものではない。また、導入済みのPC環境に対する追加インテグレーションも可能だ。
「(販売目標について)現在のFWP Passage導入社数は250社、ライセンス数(PC台数)は3万ライセンス。導入コストが安いというメリットを生かし、まずはとにかく社数を拡大し、そのうえで導入企業内に広がっていくような動きを期待している」(横河レンタ・リース 吉谷氏)