日本ではあまり馴染みのないテレビ番組のジャンルにリアリティ番組と言うものがある。視聴者参加型のサバイバルであったり、大掛かりなオーディションであったりとチャンネル購入が基本の欧米では昔から盛んで、それを基にした映画も数多くある。80年の「バトルランナー」や、ゲームであればそのオマージュ作品である「Smash T.V.」が挙げられるだろう。
そんな第77回は一味変わった10人+1人の対戦バトルロイヤル「Darwin Project」を紹介しよう。
(2018年7月2日追記。6月中旬のアップデートにより日本語に対応しました。ご指摘いただいた読者の皆様ありがとうございました。)
予測不可能なディレクターの介入
TPSでもお馴染みのWASDでの移動、マウスで視点を移動、左クリックで斧を振り回し、右クリックで弓を撃つことができる。左右クリックの操作がやや独特なのが本作品の特徴で、武器は斧と弓矢だけとなっており全プレイヤーは全く同じ環境下で戦うことになる。矢が有限の射程武器となるが、後述する木材を回収することで制作できるほかに自分/相手が撃った矢を回収する事でも再度使用可能だ。
ではプレイヤー間での大きな違いは何かというと、この“プレイスタイル”という項目である。ほかのバトルロイヤル系と違って、ゲーム開始前に自分好みの能力を持ったキャラにカスタマイズできる。
トップメニューの“EQUIPMENT”から自身で組み合わせることも出来るが、デフォルトのプレイスタイル毎にあらかじめ組まれたビルドもあり。初めのうちはデフォルトの三種類の組み合わせから試しながら模索するのも良いだろう。
アイテム制作に必要な資源は三種類ある。木材、皮、電子機器の三つだ。それぞれがマップ上に散らばっており、それぞれの資源の前でキーボードの“E”を押しっぱなしにすることで回収できるが、回収中は無防備になるので気をつけよう。また、ルートボックスと呼ばれる箱もマップにあり、複数の資源やアイテム自体を拾える場合もある。
ゲーム中にキーボードの“Q”を押しっぱなしにすることで制作画面に移り制作が可能だ。トラップや、自身の防具、バフ(強化)装備を作成できる。また、矢も作らなければ撃つことができないためゲーム中一番見る画面といっても良い。
制作物は画像のベアトラップなどの対戦相手の足止めをするものから、一発だけダメージを防ぐアーマーまで多岐に渡る。それぞれ制作に必要な資源もアイテムによって変わり、ビルド次第では積極的にマップを飛び回るような好戦的なスタイルから、カモフラージュや追跡効果を落とす装備で固めることでステルスに特化するようなビルドもありだ。
資源の回収や鹿を狩ると、他のプレイヤーに現在位置がバレてしまい、一定の距離ならダメージも表示される。一定時間足跡も残るので、回収後の資源からは現在位置までトレースされてしまうので注意だ。
また、場所を特定される危険はそれだけではない。バトルロイヤルお馴染みのエリア制限の他に、体温が低くなりすぎると体力が消費されていく。制限エリアでは体力ではなく体温がすさまじい勢いで下がる。通常エリアでは薪を作ることで体温は回復できるが、煙と火で丸見えになってしまうので休憩場所には気を払う必要がある。
大体の基本は上記の通りだが、これだけであれば一般的なバトルロイヤルと変わらないと言ってもいい。本作品が大きく他のバトルロイヤルと異なるのはマッチメニューにある“SHOW DIRECTOR”と言うモードである。
残念ながらLv10以降にならないと参加できないのだが、神の視点からゲームの進行に直接介入できるモードとなっていて、特定のプレイヤーに直接支援したり、マップに核爆撃を行うといった他にはない強烈な物である。DIRECTORは毎ゲームに必ず存在しており実力勝負に演出という形でドラマティックに彩ってくれる。TwichやMixerといった配信サービスとも連携しており、視聴者からの投票なども反映して介入できる。正に他にはない要素といっていいだろう。
TwitchやMIXERと連携している場合、配信画面で気になるプレイヤーを視聴者が投票することで下馬評も採れるほか、ユーザーに制限するマップを委ねるなど。登録ユーザー数と視聴者がそのまま自身の演出の武器になるという、本作品でしかあり得ない独自性といえる。
ディレクターの場合操作方法が若干変わって、WASDでの操作に加えて左右クリックでプレイヤーの追従ができるほか、左シフトキーを押しっぱなしにすることでスキルを使用できる。このスキルもメインメニューの“DIRECTOR`S DECK”で設定可能だ。このスキルは画面下部のスキルゲージであらかじめ決まっており時間で少しづつゲージが増えていく。
資源を渡したり、体温を回復させたりといった個人に対して発動させるスキルが若干特殊で、シフトキーを押してスキルを表示した状態で使いたいスキルを個人にドラッグすると発動させることができる。普段は生き残ることを考えるゲームだが、ディレクターになった場合はどうやったら試合が盛り上がるかを意識しながらプレイヤーの支援や邪魔を入れるといいだろう。マイクが使える状態ならカメラの近くのプレイヤーにしゃべりかけることも可能だが、キーボードの“G”を押すことで一定時間マップ全体に喋ることができるのも他にない特徴だ。
ファンを獲得してファンメールを貰え!
そんなフリートゥプレイ(F2P)の本作品での課金部分は流行のコスメティクスである。レベルアップ毎にとどくファンメールでランダムで衣装パーツが貰えるほかに、課金で手に入る「ラーメンスナック」なるゲーム内通貨でゲーム内ショップから買うことも可能だ。
75回で紹介した「Black Survival」も形は違えどバトルロイヤルだ。ユーザー数だけで見るなら「FORTNITE」や「PUBG」が絶対的王者といえるだろう。だが、今回紹介したDarwin Projectは相手に見られた瞬間に死ぬゲームではない。一撃で死ぬことはまずなく、プレイヤー同士の競り合いが勝つためには必須となっている。エイムが重要な弓もそうだが、斧も同時に攻撃した場合はガードとなり弾かれるといった競り合いが生まれる仕様になっているので近接戦闘が好きな方も惹かれるのではないだろうか。
元々有料タイトルであった本作品だが、無料化したことで参加の敷居はぐっと下がった。今こそ斧を持って参加しよう。
「Darwin Project」の推奨動作環境は?
最低動作環境のグラフィックの要件がGeForce GTX750もしくは660以上となっているのでCPU内蔵GPUでは厳しい。少なくともある程度の余裕は欲しいところだ。
『Darwin Project』
●Scavengers Studio
●無料(2018年3月10日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows
ジャンル Early Access、サバイバル、マルチプレイヤー、PvP、シューター
Darwin Project TM © 2017 Scavengers Studio. All Rights Reserved.
■著者:rate-dat
・Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: ratedat
・Twitter:@rate_dat
この連載の記事
-
第114回
ASCIIsteam
Steamおすすめゲーム「XCOM: Chimera Squad」ダイバーシティーを舞台にしたターン制ストラテジータイトル -
第113回
ASCIIsteam
Steamおすすめゲーム「Ciel Fledge: A Daughter Raising Simulator」10年間の愛情を娘に注ぐ育成シミュレーション -
第112回
ASCIIsteam
Steamおすすめゲーム「ジラフとアンニカ」ノスタルジアに還るリズムアクションADV -
第111回
ASCIIsteam
Steamおすすめゲーム「Daymare: 1998」バイオハザードへのリスペクトが込められたサバイバルホラー -
第110回
ASCIIsteam
Steamおすすめゲーム「GTFO」フレンドと共に地下に散る高難易度サバイバルホラーFPS -
第109回
ASCIIsteam
Steamおすすめゲーム「DJMAX RESPECT V」尊敬という意味に込められた熱い魂の音楽ゲーム -
第108回
ASCIIsteam
Steamおすすめゲーム「Indivisible」美麗フルアニメーションのアクションRPG -
第107回
ASCIIsteam
Steamおすすめゲーム「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」ADV史に残る傑作のフルリメイク -
第106回
ASCIIsteam
Steamおすすめゲーム「Cliff Empire」制約とノルマに揺られる崖上都市開発シミュレーション -
第105回
ASCIIsteam
Steamおすすめゲーム「Project Winter」過酷な雪山でのサバイバル人狼ADV -
第104回
ASCIIsteam
Steamおすすめゲーム「伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠」1980年代ADVオマージュのコマンド選択型推理ADV - この連載の一覧へ