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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第462回

いまさら聞けないIT用語集 画面のカクつきを抑えるG-SYNCとFreeSYNC

2018年06月11日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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G-SYNCとFreeSyncの違いは
HDMIサポートとハードウェアの有無

 さてこれらの解決策であるが、GPUの描画のレートとモニターの表示レートが合っていないのが問題なのであって、GPUの描画が終わったタイミングで次のフレームを表示するようにすれば問題ない。

GPUの描画レートとモニターの表示レートを合わせれば、問題は解消する

 G-SYNCもFreeSyncもこの仕組みをとることで、スタッタリングやティアリングを解消している。もちろん、上の図ではFrame #2の描画(Frame #1の表示)時間が1/60秒を超えることは解消できないが、これは根本的にはGPUの能力不足に起因する問題で、表示側ではどうにも対処できない。

 対策としてはより高速なビデオカードに交換するか、描画品質を落とすしかない。ただこれを除けば、G-SYNCとFreeSyncで表示の問題はだいぶ解決することになる。

 したがって、やってることはほぼ同じG-SYNCとFreeSyncだが、実装はだいぶ異なっている。比較してみると以下の違いがある。

G-SYNCとFreeSyncの違い
  G-SYNC FreeSync
対応I/F DisplayPort 1.2a以降 DisplayPort 1.2a以降またはHDMI 2.1以降
対応GPU GeForce GTX 650Ti以降、
もしくはGeForce GTX 695M以降
AMDのAPU、およびRadeon R7 260以降
対応フレーム
レート
0Hz~モニターの最大フレームレート 9~240Hz(FreeSync 2では0~240Hz)
対応OS Windows Windows, Linux, XBox One
必要となる
ハードウェア
G-SYNC用コントローラーが
モニター側に必要
特になし
他の規格との
互換性
なし VESAのAdaptive Displayと互換
HDMIのVariable Refresh Rateとも互換

 G-SYNCはモニター側にG-SYNC専用のコントローラーを必要とする。このコントローラーの中身はFPGAと768MB分のDDR3メモリーで、ここでリフレッシュレートを変換する仕組みだ。これが理由で、対応I/FはDisplayPort 1.2a以降となっており、HDMIには対応できない(単にFPGAにHDMI用の対応I/Fを組み込んでないだけ、という話ではあるのだが)。

G-SYNC専用のコントローラー

 一方のFreeSyncは、同じDisplayPort 1.2aに追加されたAdaptive-Syncプロトコルを利用している。これはVESAが2014年に制定した規格で、このプロトコルを利用してフレームレートを変更している。

FreeSyncのロゴ

 時系列では、AMDがまずFreeSyncのコンセプトを開発後、これをVESAに提案。VESAがこれをAdaptive-Syncとして標準化し、DisplayPort 1.2aに追加したという形になる。

 Adaptive-SyncはあくまでもDisplayPortだけでしか使えないが、幸いにもHDMIの方もVersion 2.1でVariable Refresh Rate(VRR)という機能が追加され、これを利用することでDisplayPortと同じように動作させられるようになっている。

 ちなみにFreeSyncの方だが、AMDは2017年にFreeSync 2を発表している。FreeSync 2は最小フレームレートの制限がなくなったほか、対応できる色空間の大きさを2倍以上に拡大、HDRへの対応なども付け加えられている。

 幸いなのは、FreeSyncはハードウェアが標準的なもの、つまりDisplayPort 1.2a/HDMI 2.1の上で動作するので、FreeSync→FreeSync 2はドライバーのアップデートだけでそのまま利用できることだ。

 もっとも最小フレームレートはともかくHDRや色空間は、モニターがそれに対応していないと意味がないのだが、逆に言えばいままでsRGBを超える色空間(例えばAdobe RGB)に対応していたり、HDR表示が可能なモニターであっても、FreeSyncを使う限り色空間はsRGBでSDR表示に制限されていたのだが、FreeSync 2でこの制限が取り払われたことになる。

FreeSync 2対応モニターが間もなく登場予定だ

 さてユーザーの立場からすれば、両対応のモニターが登場すれば一番話が楽(ビデオカードをなににするかは後で考えればいい)なのだが、そうした製品は今のところ存在しない。

 厄介なのはG-SYNCが専用のコントローラー(事実上のフレームレートコンバーター)を必要とすることで、このG-SYNCのコントローラーを搭載したモニターはDisplayPortのAdaptive-Syncのプロトコルを認識してくれない。G-SYNCのコントローラーがAdaptive-Syncをサポートしないからだが、そのためG-SYNC対応モニターではFreeSync/FreeSync 2が利用できない。

 逆にFreeSync/FreeSync 2対応モニターは、G-SYNC専用のコントローラーを持っていないため、GeForceからG-SYNC可能と認識されない。

 技術的には、DisplayPortはG-SYNC対応とし、HDMIの方をFreeSync/FreeSync2対応にしたり、G-SYNC対応用のDisplayPortとFreeSync/FreeSync 2対応DisplayPortの口を別に設けるなどの対応は可能と思われるのだが、実際にそうした製品が皆無なのはライセンスにあたってなにかしらの条件が付加されており、両対応のモニターが作れないのかもしれない。

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