電子書籍ではなく、アナログな本にこだわる6つの理由
最近、筆者がハマっているのは部屋の片付け。子供の頃からナマケモノで数年前まで部屋は散らかり放題だったのですが…(笑)。やっぱり整理整頓されているほうが仕事をするにしても、探し物をするにしてもラクチンで。自分が整理整頓タイプなことにやっと気がつきました。そういえば、ゲームセンターでも崩れて落ちそうなコインとか、景品が落ちそうなクレーンゲームを見るとムズムズします。なんだか、例えが合ってないかもしれませんが…(笑)
そんなノリで、先日は本棚の整理をしながら、本の量と重さに「やっぱり、蔵書の電子書籍化かなぁ…」なんて、弱音を吐きました。
本の整理の方法は決まっていて、まず箱を二つ用意します。ひとつは「天国の箱」で、もうひとつは「地獄の箱」です。ルールは単純で「後でまた読む本、資料」は天国の箱行きで、「もう読まない本」は地獄の箱行き。ポイントは「たぶん読む…かも」も地獄行きにするところ。
全部の本が箱に入り、本棚が空になったら、天国の本だけを本棚にもどします。ところが、今回は本が入りきらず、なぜか新たに本棚を増設するはめに…。一番大きな書架は吊り戸棚なので、今年から200kgまでに制限したのが原因です。
こんなふうに本の数や重さ、ホコリに苦労しながらも、蔵書のオール電子書籍化に踏み出せない…。今回はそれでも「アナログな本にこだわる理由」についてピックアップしてみました。
アナログな本にこだわる理由 その1
目の前から消えないから
電子書籍はとても便利です。たとえば、キーワード検索も早いし、読みたい本、自分のコレクションを何冊でもタブレットなどで持ち運ぶことができます。その反面、リーダーアプリを閉じると画面から見えなくなってしまうため、自分からアクセスしなければ永遠に消えたまま…。
いっぽう、アナログな書籍は物理的に消えることはありません。筆者の場合、一番大きな書架が生活や仕事の動線にあるため、そこを通るたびに本が目に入ります。それが本に触れるキッカケになります。
さらに、たまに本の整理で重い本を数十冊も上げ下ろしするので運動になり、ホコリやカビも多少吸って免疫力も高まるというボーナスがつきます…(笑)。
アナログな本にこだわる理由 その2
図録や希少本などは電子書籍がない
今は出版と同時に電子書籍化される本がほとんどですが、それ以前の本は自分でスキャンして電子書籍化するしかありません。近年でも美術展や博物館などで販売される図録などは、厳密には書籍ではありませんが、電子化されることはほとんどありません。
創作や企画書を書くときに、そんな資料をヒントにすることがほとんど。また希少本(古本)も同様です。
アナログな本にこだわる理由 その3
質感、手触りの変化が刺激になる
アナログの本には、大きさや装丁、レイアウトや紙がそれぞれ違います。それが何度も手に取ったり、蔵書にする理由のひとつです。それは、バイクや車好きの人が車種や製造年にこだわるのと似ているかもしれません。
もし「本で重要なのは内容だけ」と極論をいってしまえば、「車はどれも同じ、ただ走ればいい」という意見と同じ寂しさがあります。
タブレットなどで電子書籍を持ち歩けるのは、大きなメリットですが、本ごとにフォントやレイアウト、手触りの違いを味わえるのは、アナログな本ならでは。それにより、知識とともに、別の心地よさ、刺激を受けることが大きなメリットだと思っています。
アナログな本にこだわる理由 その4
アナログな本はインテリアの一部になる
もし自宅に誰かを招くとき、「なんかインテリアがまとまらない…」と悩んでいるなら、部屋にアートと花(もしくは果物)と本を置いてみることをお勧めします。もちろん、アートは映画のポスターでもいいし、お気に入りのフィギアでもOKです。
アートと本は、来客に対して住人のパーソナリティを表現し、花やフルーツは部屋に生命感をあたえるからです。
アナログな本にこだわる理由 その5
ギフトになる
仕事柄、出版社からの献本も含め、友人からよく本をプレゼントされます。書架には、友人からのプレゼントされた本だけを集めたコーナーもあり、ときどき本を開いては「元気かなぁ…」と思い出すことも少なくありません。
友人からプレゼントされた本はどれも素敵なつくりで、製作者の思い入れのあるものばかり。最近は電子書籍で献本されることも増えてきましたが、僕はやはりアナログ派。ラブリーな表紙の本をもらうと、まるで美しく包装されたプレゼントをもらった気分になります。メッセージとサイン入りの本が本棚に並ぶのもアナログ本ならではの喜びです。
アナログな本にこだわる理由 その6
自分探求になる
上でも少し触れましたが、どんな本を読んでいるかは踏み込んだ自己紹介にもなります。「本棚を見ると、その人がわかる」という格言が、世界中に古くからあるくらい。
これは他人にだけでなく、自分にとっても同じで、書架を眺めることで自身をさらに深く知るキッカケになります。
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。
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