このところ、クローゼットに服が入りきらなくなり、ハンガーポールを買い足しました。筆者は、そんなにオシャレさんではありませんが、仕事用のスーツはそれなりに増えてきます。普段はジャージとかTシャツなので、あまり自慢できることではないかもせんが…(笑)。
マジシャンという仕事柄、どうしてもダーク系の色合いのスーツが多めです。ところが、ミステリアスなブラックスーツを着てきたはずが、明るい場所で見たらダークグレイだったりネイビーアッシュ(濃紺)だったりして現場で焦ることがあります。おそらく、筆者の目が悪いのではなく、クローゼットルームの照明が原因なことに気がつきました。
若い頃の手塚治虫さんが、裸電球の下、徹夜で名作『ジャングル大帝』のカラー原稿を仕上げていたときの失敗談を聞いたことがあります。夜が明けて原稿を確認してみると、主人公の白いライオンがクリーム色に塗られていた…という逸話です。
巨匠、手塚先生には程遠いかもしれませんが、似た失敗をしないためにも、クローゼットルームのリニューアルに合わせて照明をスマート電球に切り替えることにいたしました。
スマート電球とは…
スマート電球は、フィリップスの「Hue」やSONYのスピーカー付き電球など、さまざまなタイプが市場に登場しています。今回、クローゼット用に筆者が購入したのは、IKEAのスマートライティングシステム、TRÅDFRI/トロードフリ。IOTやスマホには対応していませんが、スタンドアロンのコントローラーで発光色がコールド(寒色系の青っぽい光)からウォーム(暖色系のオレンジっぽい光)までの色に変化してます。価格も魅力で1000ルーメンほどの電球1個とコントローラーのセットで2999円(税込)。色温度が変わらない調光のみのセットは2499円です。それぞれの追加用のスマート電球は2499円と1799円(同じ光量、いずれも税込)。
初期設定や操作は数秒
2個以上の電球を増設した場合のペアリング(初期設定)は簡単。新たに取り付けた電球のそばでコントローラー内のペアリングボタンを押すだけです。これで、取り付けた電球すべてがシンクロ。ちなみにコントローラーの有効距離は10メートルほど。今回はクローゼットルームですが、ベッドルームでは、ベッドに入ったまま部屋の調光やオンオフができるのでスマート電球を愛用中。日によって寝入りの違うモノグサな筆者なので、超便利!
スマートクローゼットルームが完成!
ハンガーポールを増やし、天井の4つの電球を取り替えただけですが、スマートクローゼットルームの完成です。下の写真が通常のクローゼットのウォーム色(電球色)。次の写真が微妙なスーツの色を確認するためのコールド色です。
ダークスーツの微妙な色がクッキリと…
スマートライティングに変えて「うぁ!意外にド派手なスーツがあるなぁ!」と驚きました。電球に近いウォーム色で見ると地味に見えるダークスーツですが…、昼の太陽に近いクール色だとぜんぜん違う印象に…。
自分でスーツを選んで買って驚くのもなんですが、まぁ、試着した店の照明もウォーム色だったし…。趣味が極端と誤解されるといけないので説明しますと、隣のクローゼットには普通のダークスーツばかりが入っています…。
スマート電球は、女性のメイクのマーケットにも…
テレビ番組などをスタジオで撮影する場合、出演者はドーランと呼ばれる専用のファンデーションを顔に塗ります。もちろん、筆者もそう。その理由は、テレビスタジオの照明が黄色/オレンジ系のスペクトラムを含んでいるため、メイクだと顔が青く見えるから。決してナルシストだからじゃありません(笑)。テレビ用のドーランには特殊な色素が入っていて、ライトに合わせて画面では正常な肌色に映るように補正しています。
テレビスタジオだけでなく、同じ理由から、女性のメイクもその場所の環境照明によって肌の色が違って見えます。室内の照明で適切に見えるメイクが、記念撮影のときカメラのフラッシュで顔が白くなりすぎてしまうのは、カメラのフラッシュの青系のスペクトラムがメイクした肌を違った色に見せてしまうことが原因のひとつです。
色温度を調整できるスマート電球。環境照明の違いによる服の色合いだけでなく、女性はメイクにもぴったりだと思うのは筆者だけではないかもしれません…。
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

この連載の記事
- 第132回 2021年に再注目すべき日本発のイノベーション
- 第131回 マジシャン前田知洋が選ぶ! 2020年買ってよかったモノ
- 第130回 Apple Silicon「M1」はなぜ速い? タネとシカケを考える
- 第129回 誕生日にHDDが故障、自分へのプレゼントがヘリウム封入HDD+ケースになりました
- 第128回 世界征服を考える人にオススメ!? 国境も国名もない地球儀「アースボール」
- 第127回 「だまされたら商売上がったり」な職業のマジシャンが考える電話詐欺への対処
- 第126回 セミナーや取材をウェブ会議でバリバリこなすマジシャンが感じた4つの“デメリット”
- 第125回 人を欺くプロのマジシャンが考える、「ドコモ口座」問題の脆弱性とは?
- 第124回 ソニーのワイヤレスイヤホンWF-XB700の「密閉性と快適性」に惚れた
- 第123回 コーヒー人生が変わる!? 「コールドブリュー」のおいしさを自宅で堪能する
- 第122回 ビデオ会議やライブ配信がとっても楽になるスイッチャー「ATEM Mini」は必携!
- この連載の一覧へ