コーヒーによる事故を未然に防ぐ天板
一方、机のクルーズの見た目は、いかにもオカムラの事務機感が漂うが、機能十分。天板の高さ、角度を調整するレバーは、天板裏の左右両脇にあり、右で高さ、左で角度を変える。椅子と同様、ダンパーが効いていて、調整の際にガクッと落ちたりすることはない。
ただ、天板を傾斜させて使うのなら、サイドテーブルのようなものは必須。コーヒーカップの置き場がない。見方を変えると、コーヒーをこぼしてキーボードが水浸しになるリスクが低いとも言える。自然と入力装置以外のものは置かなくなるから、いつも机の上はすっきり。問題なのは、10度も傾けるとキーボードがズルズル滑り始めること。場合によっては底に滑り止めのゴムを貼る必要があるかも。
クルーズCタイプの基本ユニットは、棚板の高さ調整あり版(MY10XG)と、なし版(MY10XE)が選べる。調整ありの場合は、680-780mmの範囲で、20mmピッチで6段階。調整なしの場合は650mmで固定。私は高さのあるiMacを置くつもりなので、30mm低い調整なし版にした。
あとは本体と天板のカラーも選べるが、価格は変わらない。これで公式通販の税込価格で10万3550円なり。椅子と合わせて、計23万3452円だった。
ここからどれくらい安くなるのかという話だが、もし購入を検討しているなら、まず最寄りの取り扱い店で見積もりを取った方がいいかもしれない。クルーズの設置にはオカムラの作業員の出張が必要で、地域によっては施工費が請求される。私は普段お世話になっている事務機屋さんにお願いしたが、施工費の必要な地域だと思っていたら請求はなく、結果的に値引き販売のネット通販より安かった。
想定外の効果もあり素晴らしい
発注してからの納期は1ヵ月程度。設置を終えて下調べが足りなかったと思ったのは、クルーズの棚板の最大積載質量が「10kg(等分布質量)」だったこと。9.54kgのiMacなら問題ないということだったが、取説を見るまでこのスペックとは知らなかった。
棚板はスチール製本棚のようなコの字型の鋼板で、確かに小さな面で荷重がかかると弱い。さすがに曲がったり凹んだりすることはないが、もともと不安定なiMacのスタンドと相まって、ちょっと触った程度で揺れてしまうのだ。これは棚板の上にもう一枚板を渡せば解決するが、いっそディスプレーアームとVESAマウントのような、ほかの支持方法を考えた方が良さそうだ。高いところに置いたiMacは地震が怖い。
ほかに気になるのは、黒いメッシュは繊維の付着が目立つのでほかの色にした方が良かったかなとか、可動部や座面の経年変化がどれくらいかくらいのことで、今のところ満足感はとても高い。
最初は、大した仕事をするわけでもないのに、自分に対してオーバースペックな気もしたが、椅子と机の機能は、人の能力に依らず平等にもたらされる。腰は痛くならない、肩は凝らない、おまけに目も疲れにくい。やはり遠くに置いた大画面は年寄りに優しいのである。買って良かったと心の底から思っている。
ただし、集中力は上がるのかもしれないが、持続時間はいつものとおり。うっかりすると、午後をぐっすりすっ飛ばし、気がついたら美しい夕焼け空が展開していることもあるので気をつけたい。
四本 淑三(よつもと としみ)
北海道の建設会社で働く兼業テキストファイル製造業者。