Shureは4月28日、春のヘッドフォン祭 2018の会場で、コンデンサー型イヤフォンの新製品「KSE1200」を発表した。価格は19万8000円(税抜)。発売は5月下旬~6月上旬。予約受付は本日から開始している。
来日したシニア・カテゴリー・ディレクターのマット・エングストローム氏は「日本の市場とユーザーをターゲットにした製品。シュアにとって日本のユーザーはとても特別で大切。この方々のパッションに触れなかったら製品は生まれていなかった。どんなディティールでも妥協しない。それにいつも気付いてくれるのが日本のユーザー。もっといいものを作りたいと思わせてくれる。製品開発のモチベーションを与えてくれるので、日本のユーザーには感謝しかない」とコメントしているという。
KSE1200はコンデンサー型の高遮音性イヤフォンシステムと銘打っている。2015年10月発表の「KSE1500」(発売は翌年1月)に続くコンデンサー型の第2弾で、約2年ぶりの新製品となる。この間に多ドライバー化したIEMやBluetoothなど製品が増えているが、本当の意味でのイノベーションはないというのがShureの主張。コンデンサー型は現状最高の音質を提供できるものと考えているが、本日発表した以外にも様々な製品を企画中だという。
プロダクトマネージャーのショーン・サリバン氏は「ヘッドフォンだけでここまでの人が集まる国は珍しい」とコメント。「毎回とても楽しみにしている」とした。KSE1500と比較しながら、KSE1200について解説した。コンデンサー型の利点は、極小でほぼ無質量と言っていいほど軽い振動板だ。これが正確で素早い反応(過渡特性)、明瞭なディティールの表現につながる。固定極板の間に200Vの高電圧をかけ形成した磁界を使い、極薄の振動板全面を動かす仕組みだ。ダイナミック型のようにどこか1点から振動板全体に力を伝える仕組みではないので、均一な駆動が可能だ。
一方市場にはハイエンドのプレーヤーが多く出ているため、KSE1500が搭載しているDAC機能はそこまで必要ではないという反省もあった。そこでアナログ入力に絞って開発したのが、KSE1200だ。アナログに特化したため、10層のPCB基板は再設計した。小型化し、電池の持ちも12時間に増えたという。イヤフォン部分はKSE1500と同じだという。まったく同じイヤフォンでアンプが異なるシステムだと考えてほしいとのこと。アナログ再生に特化したことで、残留ノイズなどの低減も図られたという。
なお現時点では、アンプ部分だけの単体販売に関しては考えていないとのこと。需要次第で検討するそうだ。
これ以外にもシニア・プロダクト・スペシャリストのトーマス・バンクス氏がMMCX対応のBluetoothケーブル「RMCE-BT1」(発売中)、MMCX対応の3.5㎜リモコン付きケーブルでiOSにもAndroidにも対応した「RMCE-UNI」(5月25日、税抜3980円)、Lightning端子直結でき、24bit/48kHz対応DACも対応した「RMCE-LTG」(発売中)、USB Type-Cで24bit/96kHz対応し、Android用リモコンやマイクを内蔵した「RMCE-USB」(6月下旬発売、税抜1万2800円)、既発表のイヤフォン新製品なども紹介した。
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