このページの本文へ

独特な構造で最適なエアフロ―を

AZLA、エアフロ―最適化で音場が広い新イヤフォン「HORIZON」

2018年04月26日 11時00分更新

文● 小林 久 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 アユートは、韓国の新進ブランド・アズラの新イヤフォン「HORIZON」の販売を5月下旬に開始する。価格はオープンプライス。直販サイト「アキハバラ e市場」での販売価格は3万2980円だ。

 昨年7月、ブランド名と同じ名前の第1弾製品「AZLA」を出して以来、1年近く経っての第2弾。AZLAの発表時には「天空のかけら」という意味合いの造語だと紹介されたが、新製品のHORIZONは「地平線」を示す。どちらも壮大な言葉だが、サウンドステージの広さなど、ブランドが目指す音の方向感が伝わってくる名前でもある。

ドライバー、筐体、ケーブルなどすべてを刷新

 3層の振動板を重ね合わせてひずみ(分割振動)を抑制する、新開発のシングルダイナミックドライバー(ARD:Advanced Reserch Driver)を採用。振動板の直径は8㎜、厚さは46μmとのこと。ちなみに、AZLAはBA型とダイナミック型を同軸配置したハイブリッド型ドライバー(BED:Bulls Eye Driver)だった。1基で5Hz~30Hzの周波数帯域をカバー。インピーダンスは27Ω±10%、入力感度は103dBとなる。

 独特な筐体構造「Invinity sound technology」は継承。AZLAでは、密閉型でも開放型のように広いサウンドステージが得られるよう、ドライバーを収納した内側のフレーム部分に大型のベントホール(通気孔)を設けて開放感を確保。さらに外側を遮音性や音漏れを防ぐためにポリカーボネート製の大きめのシェルで覆っていた。

 HORIZONでは、まずARDドライバーの収納部をアルミブロックを超精密切削加工で削り出したものにしている。ここはドライバーと一体化。ここはパーツの継ぎ目がないユニボディーデザインとなっており、上下2つのパーツを組み合わせている。振動板をスムーズに動かすためのベントホールも外側に2つ設けている。同社ではこの構造を「Infinity ARD」と呼んでいるようだ。

筒状のInfinity ARDを囲むようにポリカーボネート製のシェルがある

 ポリカーボネート素材の部分は大きめにしてエアボリュームを確保。AZLAでは透明だったが、HORIZONでは品質の高いUVコーティングを施している。色はエボニーブラックとクリムゾンレッドの2色が選べる。

 AZLAは少し大きめだった。広がり感の確保のためにはある程度の空間が必要ではあるが、装着性が悪く感じる面もあった。HORIZONでは本体(ハウジング)が若干小型化。さらに形状も男女問わず幅広い層に合うよう最適化している。さらに2年間の間に集めた788人ぶんの外耳道のデータも分析。その結果を反映することで遮音性やフィット感が高まっているという。

 「SednaEarfit」という独自開発のイヤピースにも注目だ。素材は特殊なシリコン素材で、高域の再現に優れるとのこと。より耳に合いやすいものになっていて、近日単体販売する計画とのこと。

 イヤフォンケーブルも新開発となる。撚り線とオリジナルデザインのスプリッターをあしらった取り回ししやすいケーブルで、芯材にはケブラーと高純度銅線を使用している。詳細は公開されていないが、多くの独自処理を施し、高純度の信号伝達が可能とのこと。バランス駆動用のケーブルはなく、端子が3.5㎜3極の1本のみが付属する。ケーブルは交換可能で、イヤフォン側の端子はMMCX。重量はケーブル込みで約24gとなっている。

取り回ししやすく、Hi-Fiイヤフォンらしい高音質

 実機の音も確かめてみた。低域がしっかりとしていて、高域もよく伸びる。気持ちドンシャリ傾向のトーンバランスで、中域は若干へこむ感じがある。ただしシングルドライバーということもあり、違和感や強調感はない。できれば、Astell&KernのA&ultima SP1000のような品質の高いプレーヤーと組み合わせたいところ。ドライバーが軽々と余裕をもって動くし、低域も芯の通ったしっかりとした表現になる。ビートの利いた音源などは特に楽しく聴けそうだ。ロックやポップスなどはもちろんだが、クラシックなどとも相性はいい。

筐体は半透明でケーブルなどが透けて見える

 個人的には耳への収まり感がよくなった点が好印象。イヤフォン再生、特に低域の再現では、ドライバー性能などよりも耳にきちんとはまるかどうかのほうが重要だったりもする。AZLAはイヤピースの選定など、ちょっとした使いこなしが必要だった。いい音を苦労せずに出せる、扱いやすい機種になった点は評価したい。

 3万円台前半の価格は、ダイナミック型ドライバー搭載機ではそれなりの高級機種になる。その中でも、音の開放感やスケール感の大きさの面ではかなり優秀な部類に入る機種だ。Invinity sound technologyの恩恵か、バランスド・アーマチュア型のような滑らかさ、緻密さ、分離の良さを感じる面もあった。ワイドレンジで、空間表現を重視した、最新のハイレゾ音源との相性もいいだろう。

■関連サイト

カテゴリートップへ

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中