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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第455回

第1世代と第2世代Ryzenの違いは微小 AMD CPUロードマップ

2018年04月23日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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Precision BoostとXFRが改良

 変更点はこれだけではない。今回、Precision BoostとXFRについては、それぞれPrecision Boost 2とXFR2に変更されたことが発表されている。

第2世代Ryzenに搭載されている主な機能。これらは、ハードウェアそのものではなく、内部のInfinity FabricにつながるPurePowerやPrecision Boostなどを管理しているMCUのファームウェア更新で実現している

 まずPrecision Boost 2については、最初に搭載したのはRyzen APUであるが、これがZen+にも搭載された。2になって従来のPrecision Boostよりもより「攻めた」設定になっている。

 これまでよりも発熱、あるいは消費電力を監視しながらぎりぎりまで動作周波数を上げる方向にチューニングされているということだ。

Ryzen 7 1800Xと2700XでOCCTを実行する論理コアを1から16まで増やした時、実クロックがどう変化するかを示した図。Precision Boost 2を持つ2700Xは徐々にクロックが落ちていく

 これも筆者の検証によるものだが、同じCPUクーラー(Wraith Prism)を利用した場合、Ryzen 7 1800XではCPUコア温度が75度あたりからサーマルスロットリング(温度が上がり過ぎないように、CPU温度が一定値を超えたら動作周波数を強制的に下げて温度を一定に保つ機構)が稼動したのに対し、Ryzen 7 2700Xでは85度に達してもまだサーマルスロットリングが発生しなかった。

 おそらくこれは、より高温になっても安定して稼動することが確認できたので、Zen+では上限をより高くしたものと思われる。

 これと関連するのがXFR2で、従来は2bin(200MHz相当)に固定されていた上げ幅が、Zen+では可変になり、より上まで伸びるようになったそうだ。つまりCPUクーラーの能力を上げれば、性能の上がり方がより顕著になるというわけだ。

XFR2の上限を可変にして、冷却具合にあわせてより上まで伸びるようにしたものと思われる

 ただ、こうして動作周波数を引き上げると、当然消費電力も増えることになる。今回消費電力削減を実現したとするのは、あくまで「Zenと同じ周波数であれば」という話で、実際はその削減分を超えて動作周波数を上げる方向に設定を振っているので、トータルとしてはやや消費電力が増えているのは加藤勝明氏のレビューにもある通り。

 このあたりはもう性格付けの話になるので、たとえばより消費電力を下げたいと思えば、BIOS セットアップなりRyzen Masterなりで動作周波数をZen並みに下げて運用すれば、従来よりも消費電力を引き下げての運用が可能になるだろう。

 この放熱に関しても若干の変更があるそうだ。ヒートスプレッダとの接続がハンダによるのは従来と同じだが、この材質を変更したほか、新たにDie Metallizationという、ダイの表面に金属メッキを施すことで放熱性を上げる仕組みを施したそうで、これにより同じヒートシンクの場合でも従来比でダイの温度を最大10度度下げられるとしている。

 CPUクーラーを強化すると、それが効きやすくなっているわけで、このあたりも動作周波数向上に役立っている。

「より放熱に適した材質にした」のだそうだが、詳細は不明

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