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いま聴きたいオーディオ! 最新ポータブル&ハイエンド事情を知る 第13回

ここまで多機能なのは珍しい

非常に多機能、使い込むのが楽しみな「FiiO X7 Mark II」

2018年04月10日 17時30分更新

文● 小林 久 編集●ASCII

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しっかりとした低域再生能力、高出力でヘッドフォンを選ばない

 肝心の音について。これもなかなかいい。

 まず標準添付のアンプ「AM3A」は、一般的な3.5mmに加えて、バランス駆動用に2.5㎜端子を持つ。アナログ・デバイセス製の高精度広帯域JFETオペアンプ「AD8620」と、X7 Mark II専用に設計された特注仕様のオペアンプ「OPA926」を2基使用しているとのこと。1年におよぶテストを経て開発されたそうで、プリント基板の設計は9回におよんだとのこと。

 音質面でもうひとつ注目したいのは、クロックを3種類搭載している点だ。44.1kHz系、48kHz系に加えて、サンプリング周波数の高いハイレゾ音源用を用意している。具体的な数値の記載はないが、高速なものを採用しているそうで、ジッターが少なく、より正確なタイミングでデジタル→アナログ変換ができるという。

FiiO Musicで再生中の画面。お気に入りに登録したりプレイリストに入れたりといったよく使う機能が集約されている。

イコライジング機能も持っている。プリセットのほか、カスタム設定も可能だ。

Viper Effectという多彩なエフェクト機能も用意されている。音場の変更や真空管サウンドのエミュレートなど非常に多機能だ。

 実際に何曲か聴いてみた感想としては、高域はあまりよくばっていない印象。中音~高音域もささらずにゆったりしており、聴きやすい。特にボーカルの再生がつややかだ。逆に低域は、芯があってエネルギッシュな表現。ベースラインやパーカッションなどの分離感があって見通しがいい。このあたりは過度でない範囲で、FiiOらしい味付けを感じる面と言えそうだ。

 全体を通して、情報量の豊富さや音離れなど音の優劣に影響しそうな部分の水準は高く、フラッグシップ機としての実力が存分に発揮されていると感じた。実売10万円弱のカテゴリーは、音質にこだわるユーザーに向け、各社が力を入れているが、ソニーの「NW-ZX300」やAstell&Kernの「AK70 MKII」といった製品とと比較しても、見劣りする面はなく、存在感を感じる音だと思う。

ESSのDACを搭載することもあり、フィルターに関しても豊富。

 アンプはハイゲインとローゲインの切り替えが可能で、16ΩのIEMから300Ωとハイインピーダンスなヘッドフォンまで幅広い機種に対応できる。ANDROMEDA(12.8Ω、115dB)のような高感度なイヤフォンをローゲインのバランス駆動で聴くと、曲の無音時などで残留ノイズが気になる面があるが、音の切り込み感やメリハリ感などはさすが。一方で、ハイゲインのアンバランス駆動時には、HD800(300Ω、102dB)を50~60%程度の音量で余裕をもって鳴らすことができる。雄大で音の立体感や広がりなども十分だ。

F9 PRO。楕円を主体とした独特なデザインだが、金属製ボディーでこちらも質感が高い。Knowles製のBAドライバー2基とダイナミックドライバーを組み合わせたハイブリッド型のIEMだ。

 また、FiiOは「F9 PRO」「F9」「FH1」といいう3種類のイヤフォンも投入している。最も高価なF9 PROが2万3000円強、F9が1万6000円強、FH1は1万2000円強とそれほど高価ではないが、F9 PRO/F9はバランスドアーマチュア型×2+ダイナミック型×1、FH1はバランスドアーマチュア型×1+ダイナミック型×1のハイブリッド構成になっている。

3モデルの筐体。左下がFH1、中央がF9、右上がF9 PRO

 楕円形のハウジングは、写真の撮り方によっては少しやぼったく見えてしまうかもしれないが、実物を見ると、金属製ハウジングの質感が高く、作りもしっかりしている。これらの機種とX7 Mark IIを組み合わせた音に関しても別の記事で見て行きたい。

 機種によって違いはあるのだが、この組み合わせで聴いた印象としては、芯があって深い低域が少し強めに出て、その上に滑らかで聴きやすい中音・高音が乗ってくる印象だ。スピーカーにサブウーファーを追加したときのような迫力感が追加されるイメージと言っていいかもしれない。しっかりとした低域に支えられた音という、FiiOの目指している方向性が何となくうかがえるような気がした。

拡張性の高さはクラス随一、使い込みが楽しそうな製品

 FiiOというブランドの知名度は日本ではまだまだこれからという部分があるが、多機能な作りでありながら、なかなか堅実な作りの製品だと思った。10万円近い機種であるため、安価とは言いにくいが、この音質と多機能でこの価格であれば納得がいくし、むしろ割安に感じる面もあるほどだ。

 特に拡張性の高さは魅力で、これ1台あればいまDAPでやりたいことはたいていクリアできると思えるほどだ。また海外ブランドの製品であり、音質傾向に関しては、日本製プレーヤーとはアプローチが違う面がある。そこもまた魅力のひとつになっている。

付属ドライバーでアンプ部分は取り外せる。ねじはトルクスタイプ。

 アンプの交換が可能な点も、FiiO製DAPの特徴だ。X7 Mark IIでも、AM3A以外に「AM5」「AM2」「AM0」の3製品がリリース済み。AM5はハイパワータイプ、AM2がミディアムパワータイプ、AM0がポタアンとの組み合わせを想定したコンパクトなノンアンプ(Micro-USB端子のみ)となっている。AM5とAM2はオペアンプに新日本無線の「MUSE02」、AM5はバッファーにTIの「TPA6120A2」を採用しており、AM3Aとは異なる味が楽しめる。イベントなどでは4.4㎜5極端子を搭載したモデルの参考展示もされている。2.5㎜4極より安定感のあるプラグであり、交換ケーブルを持っているのであれば試してみたい選択肢になりそうだ。

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