ゲーミング向けモデルなどハイエンドなノートパソコンは、高いスペックを誇る一方で巨大で重い製品が多い傾向にある。しかし、ゲーマーの中には高スペックながらも薄くて軽いマシンを望む声は大きく、NVIDIAは薄型ゲーミングノート向けのデザインプラットフォーム「Max-Q Design」を策定した。
日本エイサーが発売する「Predator Triton 700」(型番:PT715-51-A76Y)も、Max-Q Designを採用した15.6型ノートパソコン。GPUに「GeForce GTX 1080」を搭載しながらも、およそ厚さ18.9mmという薄型筐体を実現している点が最大の特徴だ。さらにTriton 700は、スクウェア・エニックスに「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」(以下、FFXV)の動作確認を受けた推奨パソコンでもある。
そこで今回は、FFXVのパフォーマンスを中心に、Triton 700の実力を見ていこう。
冷却能力が高いので薄型でも大丈夫
オーバークロックとなる動作モードも搭載
Triton 700は、CPUにCore i7-7700HQ(2.8GHz、最大クロック3.48Hz、4コア/8スレッド)を、GPUにGeForce GTX 1080(8GB GDDR5X)を採用した高いスペックを誇るマシンだ。これらをおよそ18.9mm厚の筐体に収めるため、Triton 700では0.1mm厚という薄いメタル製ブレードを備えた「AeroBlade 3D Fan」を採用。日本エイサーによると、AeroBlade 3D Fanによりエアフローが35%向上しているという。さらに、CPUとGPUのそれぞれのクーラーを5本のヒートパイプで結ぶなど、冷却機構にはかなり配慮が施されている。
また、付属アプリケーションの「Predator Sense」には、GPUの動作モードとして初期状態の「標準」に加えて、「高速」と「ターボ」の計3つのモードが用意されている。各動作モードのGPUおよびメモリのクロック設定の差異は、実機を使ってGPUの情報表示ツール「GPU-Z」で動作クロックを確認すると以下のとおりだった。
Predator Sense各動作モードのGPUおよびメモリーのクロック設定の差異 | |||
---|---|---|---|
モード | ベースクロック | ブーストクロック | メモリークロック |
標準モード | 1290MHz | 1468MHz | 10GHz相当 |
高速モード | 1365MHz | 1543MHz | 10.4GHz相当 |
ターボモード | 1440MHz | 1618MHz | 10.8GHz相当 |
ターボモードにいたっては、ベースクロックとブーストクロックがともに150MHz高く、オーバークロックによる上がり幅はなかなか大きい。
ディスプレーにはノングレアタイプのIPS液晶を採用。特筆すべきは、リフレッシュレート120Hzに対応しているほか、NVIDIAのディスプレー同期技術「G-SYNC」をサポートしている点にある。FFXVでリフレッシュレート120Hzの恩恵を享受する場面はさほどないと思われるが、G-SYNCによりティアリングを軽減できるのはかなり魅力的だ。なお、解像度は1920×1080ドットまで対応している。
そのほか、無線LANコントローラーに「Killer Wireless-AC 1535」を、有線LANコントローラーに「Killer E2500」をそれぞれ採用。どちらもRivet Networksが展開するKiller Networkingブランドでまとめられており、Killer DoubleShot Pro技術により、アプリケーションごとに利用するLANを割り振ったり、それらを束ねて高速化を図ったりもできる。
スクウェア・エニックスの指標で快適以上のスコアを発揮
実際のゲームでは常時60fps以上のパフォーマンス
では、Triton 700でFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONはどの程度快適に遊べるのだろうか。まず「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONベンチマーク」を実行してみた。なお、解像度はフルスクリーンの1920×1080ドットし、画質設定は「高品質」と「標準品質」を選択した。
3つの動作モードすべてでベンチマークを実行したが、高品質ではデフォルトの標準モードで「快適」となるスコアを発揮し、ターボモードではそこからさらにスコアが4%向上した。一方の標準品質では、標準モードでは「快適」なのは変わらないが、高速モードやターボモードでは「とても快適」となるスコア9000以上のスコアを叩き出している。
では、実際のゲームプレーではどうなのか、リード地方を1分間移動した際の平均フレームレートと最小フレームレートを「Fraps」で測定したみた。すると、ベンチマークとは画質設定のプリセットの内容が異なるのか、標準モードであっても最小フレームレートが60fps以上という高いパフォーマンスを発揮している。戦闘シーンではフレームレートが変動してしまうが、それでも快適にあそべるのはいうまでもないだろう。
動作音は比較的静かな印象
Windows Mixed Realityにも準拠
実際にTriton 700を使用してみると、ファンの動作音がさほど大きくないのには正直驚いた。高い冷却性能を実現するために動作音がウルサイ製品もみられる中、Triton 700はこのクラスの製品としては動作音がおさえられている。もちろん、静音性が高いとまではいわないが、ヘッドフォンを装着すれば、動作音はまず聴こえないはずだ。
Triton 700の実売価格は、44万160円と高価。とはいえ、CPUやGPUのスペックもさることながら、リフレッシュレート120HzやG-SYNCをサポートしているなど、ゲーミング用途で魅力的な仕様を多数備えている。また、MicrosoftのVR機能である「Windows Mixed Reality」の推奨スペックを準拠しており、VRを楽しみたいといったニーズにも対応している点も見逃せない。
テスト結果から明かなように、Triton 700でFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONが快適にプレーできるのは間違いない。そのほか、「GEARS OF WAR 4」の推奨認定も受けており、ポテンシャルの高さを考えれば十分お買い得なノートパソコンといえる。ゲームをプレーする場所を選ばない、持ち運びが可能な高スペックノートパソコンがほしいと考えているユーザーにとって、Triton 700は一考の価値がある製品といってよいだろう。
試用機の主なスペック | |
---|---|
機種名 | Predator Triton 700 |
CPU | Core i7-7700HQ(定格クロック2.8GHz、最大クロック3.48Hz、4コア/8スレッド) |
グラフィックス | GeForce GTX 1080 |
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB(RAID 0:256GB+256GB) |
ディスプレー | 15.6型(1920×1080ドット)、IPS、ノングレア、G-SYNC対応 |
光学ドライブ | ー |
通信規格 | 有線LAN(1000BASE-T)、無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n/ac)、Bluetooth 4.1 |
インターフェース | USB 3.0端子×3、USB 3.0(Type-C、Gen 2)、UBS 2.0端子、HDMI端子、ヘッドフォン/スピーカージャック、マイクロフォン・ジャック、有線LAN端子、SDカードスロット |
サイズ/重量 | およそ幅393×奥行266×高さ18.9mm/約2.45kg |
OS | Windows 10 Home(64bit) |