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業界人の《ことば》から第283回

NEC社長「実行力が弱かった」2018年中期経営計画の反省と課題

2018年02月20日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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今回のことば

 「3000人の構造改革は苦渋の決断であったが、これは、スピード感を持って成長軌道に回帰するための投資の実現に必要なこと。次の成長につなげたいと考えている」(NECの新野隆社長)

2018中期経営計画の反省と課題

 NECが、2020年度を最終年度とする中期経営計画「2020 中期経営計画」を発表した。

 同社では、2018年度を最終年度する中期経営計画「2018 中期経営計画」を実行中であったが、これを見直し、2018年度からの新たな中期経営計画として策定したものだ。すでに2017年度上期の時点では見直し作業に着手していたことを、新野社長は明らかにしており、「2018 中期経営計画」は、実質的には、わずか1年しか機能しない中期経営計画だったといえる。

 NECの新野隆社長は、「2018 中期経営計画で見誤ったのは、成長させようと思った事業がほとんど成長できていないことと、落ち込むと想定していた既存事業の落ち込むスピードが我々の想定以上であったこと、さらに、独占禁止法違反認定による指名停止のインパクトもあった」とし、「市場の読みが甘かったことに加えて、変革のスピードが遅く、結果として既存の事業に引きづられた。実行力が弱かった」と反省する。

 「2018中期経営計画」では、「収益構造の立て直し」と「成長軌道への回帰」の2つを重要テーマにあげていたが、「収益構造の立て直し」については、2018年度までの3年間で820億円の改善を見込んでいたのに対して、2年間での改善実績は560億円。計画の3分の2に達していることから、「改善目標はおおむね順調に進捗している」と自己評価する。

 だが、「成長軌道への回帰」という点では、2018年度の営業利益計画の1500億円に対して、2017年度の見通しは600億円と遙かに及ばない。「営業利益1500億円の達成は困難な状況であり、計画を見直した」と、成長軌道に乗れなかったことを計画未達の要因とした。

抜本的な収益構造の改革

 新たな「2020 中期経営計画」では、最終年度となる2020年度に、売上高は3兆円、営業利益は1500億円、営業利益率5%、当期純利益は900億円、フリーキャッシュフローは1000億円、ROE(自己資本利益率)10%を目指す。

 売上高3兆円、営業利益1500億円は、「2018 中期経営計画」の最終年度に掲げた目標値と同じ。数値面では、2年先送りにしただけに見える。

 だが、NECの新野隆社長は、「『2020 中期経営計画』は、成長軌道への回帰に必要な投資を実現するために、固定費の削減を含む、抜本的な収益構造改革に踏み切るものになる」とし、「また、グローバルでの成長エンジンとして、セーフティ事業に注力することなどで、継続的に営業利益率5%を実現する体質への改革を図る」と、新たな中期経営計画の狙いを示す。

 とくに、これまでと大きく異なるのは、国内の間接部門およびハードウェア事業領域を対象にしたの3000人の人員削減を盛り込んだこと、さらには、国内9工場についても、統廃合を含む再編も行うことを発表したことだ。

 これまでの新野社長の基本方針は、人員削減は行わず、成長領域へのリソースシフトが前提だった。

 「だが、それが結果として、最適な人材を確保できなかったり、成長領域のスピードを遅くする原因となり、最適な投資ができない環境を作った」と、新野社長は、雇用維持を前提とした施策に限界が生じていたことを明かす。

 「これは、苦渋の決断であったが、スピード感を持って成長軌道に回帰するために、必要な投資を実行するには、今回の構造改革を行うことが避けられない。構造改革によって、次の成長につなげたいと考えている」とする。

 これまでは海外の人員削減によって固定費の削減を行ってきたが、いよいよ国内体制にもメスを入れることになる。だが、ソフトウェア、サービス事業領域は、今回の構造改革の対象外となる。

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