材質にこだわる、低価格だけどいい音など、豊富なイヤフォン
イヤフォンに関しても相変わらず面白い製品が多い。
音茶楽の「Flat4-櫻Balance」と「Flat4-緋櫻Balance」は双子的な関係性の製品だが、ドライバーの後ろからハウジングに伸びた位相補正チューブの長さが2㎜ほど違っている(28mmと30㎜)。個人差のある外耳道の長さを考慮。櫻(さくら)は標準、緋櫻(あかざくら)は外耳道が長い人向けだという。人間の耳は3kHz前後の感度が高いといわれるが、イヤフォンを密閉して装着するとそのピークが6kHzぐらいに動いてしまい、そこが高域の刺さりなどに関係するという。その調整に効果があるそうだ。
名前の通りハウジングの一部に桜材を使用。実売価格は9万円前後と高価だが手作業を中心にした凝った作りと仕上げだ。姉妹機に欅(けやき)材を使ったものもあるが、聴き比べるとよりマイルドで聴きづかれしにくい印象だ。欅は非常に軽くて硬い(ヤング率/比重)素材とのことで、音の切れがよくメリハリ感がある。バランス駆動に対応することで、よりしっかり据わった音の再現ができるという。10㎜のダイナミック型ドライバー2基を対向配置している。音圧感のある中低域に加え、45kHzまでの高域再生も可能となっている。発売は3月2日で、合計100台の限定生産だ。
SATOLEXの「Tumuri DH303-A」は1月末に発売したばかりの製品で、MMCX端子を持ち、リケーブル対応の機種となる。ケーブルは耳掛け式だ。実売価格は7000円を切る。伸びのある中高域の再生が可能なハイレゾイヤフォンだ。筐体は樹脂製だが、Tubomiでは筐体変更による音の変化も楽しめたので、バリエーション展開も期待したいところだ。
ハイコスパな製品を数多くリリースしている1MORE。近く投入するのは7000円前後のハイブリッドイヤフォン「E1017」だ。グラフェン使用のダイナミック型ドライバーとBA型ドライバーを組み合わせている。チューニングとしてはゆったりとした中音域で、高域が刺さらないず落ち着いている。同社らしいバランス感で聴き疲れしにくそうだ。
真空技術を採用したVECLOSのイヤフォンやスピーカー
昨年のポータブル関連イベントでも展示されていたサーモス(VECLOSブランド)のイヤフォンは真空技術を取り入れた独自性のある製品。サーモスといえば魔法瓶だが、真空技術は断熱と同様に不要な振動が伝わるのを防ぐ目的でも役立つ。ハウジングがステンレス(S)製の「EPS-500」と「EPS-700」、チタン(T)製の「EPT-500」「EPT-700」の4種類がある。いずれもBA型ドライバーを採用しているが、500と700は異なるドライバーを使った上位・下位モデルという位置づけ。発売は夏を目指しており、価格などは未定。
なおVECLOSブランドの製品としては、デスクトップ再生用のスピーカー「SSB-380S」も展示されていた。AKM製チップによるUSB DAC機能を内蔵している。DSD 11.2MHz、PCM 384kHz/32bitのネイティブ再生に対応予定だ。低域はニアフィールド再生ということもあり、100Hz程度まで。aptX対応のBluetooth再生もできるとのこと。価格は未定だが、昨秋から販売している「VECLOS MSA-380S」が10万円台後半の実売価格であるため、近い線に落ち着くのではないかとのこと。