ホームシアターではDolby AtmosやDTS:Xの普及が加速
2017年は前後左右に加えて、高さ方向の再現も可能な立体音響を実現する「Dolby Atmos」と「DTS:X」の普及が進んだ。いち早く対応を果たしたAVアンプに続き、手軽に使えるサウンドバータイプの対応モデルも登場してきている。
今年の注目モデルは、ソニーのサウンドバーの最上位モデルの「HT-ST5000」。前面に7ch分のスピーカーを搭載し、左右の上面にトップスピーカーを内蔵。7.1.2chのDolby AtmosやDTS:X再生を可能にした。
その音はサウンドバーの枠を超えた本格的なもの。リアルにスピーカーを配置する本格サラウンドの実現が難しいという人には見逃せないモデルとなっている。
そして、もっと身近なモデルも大きなトピックがある。それは「DTS Virtual:X」。バーチャルサラウンド技術で、前後左右と高さ方向のサラウンドを実現する技術だ。
ヤマハの「YAS-107」と「YAS-207」でいち早く搭載し、テレビの周りに置くだけの2.1ch構成で、立体音響を実現。今までのバーチャルサラウンドとは別物と言える再現度で、後方の音までかなりリアルに再現できるようになっている。
こうしたバーチャル技術が、本格的なサラウンドをより身近なものにしてくれることは間違いない。
DTS Virtual:XはデノンやマランツのAVアンプでもアップデート対応が発表されており、5.1chが精一杯という環境でも立体音響が楽しめるようになる。天井へスピーカーを設置するのは無理! と諦めていた人には朗報だろう。
スマートスピーカーで家庭での音楽再生の形が変わる!?
オーディオ関係で一番の話題はスマートスピーカーの登場だろう。これは、音声認識技術を盛り込み、音声で自由に楽曲の検索や再生ができるもの。普及が進んでいる音楽配信サービス各社がそれぞれにスマートスピーカーを発売し、聴き放題の膨大な楽曲を手軽に楽しめるようにするものだ。
スマートスピーカーには、「Google Home」「Amazon Echo」「LINE Clova WAVE」などが登場している。
アップルの「HomePod」は2018年初旬の発売予定だ。このほか、ソニーやオンキヨーといったオーディオメーカーからも、スマートスピーカーが発売されている。
膨大な楽曲を気分やアーティストなど、手頃なキーワードで検索し、スマートスピーカーで自由に再生してくれるスタイルは、カジュアルな音楽再生の形を変えてしまうかもしれない。音楽ライフがより自由なものになっていくだろう。
個人的には、音声認識による操作性や対応する家電機器との連携といった新しい使い方には注目しているものの、肝心のオーディオ機器としては興味は薄い。
利便性の問題が多きいのだろうが、ワンボディーでステレオ再生という形は物足りない。普及が進み、スタイルはともかく2台のスピーカーでステレオ再生ができるようなシステムが登場することにも期待したいところだ。