Adobe Senseiの大きな進化
一方、2017年10月には、米ラスベガスで開催したAdobe MAXで、Adobe Creative Cloudの強化を発表。Photoshop CC、InDesign CC、Illustrator CC、Premiere Pro CCなどの主要アプリケーションの機能をアップデートするとともに、人工知能(AI)と機械学習プラットフォームであるAdobe Senseiも大きく進化させた。これも、2017年のアドビの進化として見逃せないできごとだ。
「日本でAdobe Creative Cloudのサービスを本格化したのが3年前。サブスクリプションモデルへと移行したことで、半年ごとに新たなリリースでサービスを強化したり、月額980円というプランによって、プロフェッショナルだけでなく、趣味でデザインを行なう人たちにも使っていただくといった動きが出ている」とする。
Adobe MAXで発表されたクリエイティブ関連製品は、「UX」や「レシポンシブウェブデサイン」といった観点から強化。表現に最適化したツールなどに注目が集まり、ここにAdobe Senseiによる進化が加わった。
「一般の人たちがクリエイティブエクスプレッションをやろうとしても、自分が描いている思いと、出力する作品との間にギャップが生まれることが多かった。だが、Adobe Senseiを活用することで、この距離がかなり埋まるようになった」とする。
調査によると、71%の企業において、2~3年前に比べて10倍ものコンテンツを制作しているという結果が出ており、それでいて、プロフェッショナルの数は増えていないという実態が明らかになっている。
デジタルコンテンツの増加にともなって、プロフェッショナルではない人たちがコンテンツを制作できる環境づくりは急務だ。
AIは芸術性を犠牲せずに効率を加速させる最高の機能
一部では多くのAIと同様にAdobe Senseiがクリエイターの仕事を取ってしまうのではないかとの議論もある。
だが佐分利社長は「むしろ、多くのクリエイターが望んでいたのが、この分野におけるAIの登場。Adobe MAXに参加していた日本のクリエイターの約9割がすぐに使いたいといっていた。クリエイターの仕事は、限られた時間内に、最高の品質に仕上げることが求められている。芸術性を犠牲にせず、業務効率や作業効率を加速するという点では、AIは最高の機能。そしてAdobe Senseiは、簡単なコンテンツ制作は現場の人たちに任せ、プロフェッショナルはより高い専門知識が求められている領域や、ARやVRのように難易度が高いところに挑戦していくことができるようになる。クリエイターの仕事をエンハンスできるものになる」とする。
12月から新年度が始まったアドビは、「カスタマーサクセス」を重視するという。「カスタマーを理解し、いかにカスタマーの成功につなげるかにこだわる。アドビは、カスタマーサクセスを実現する最後の最後まで、お客様を支援できる企業になりたいと考えている」とする。
アドビにとって、日本は世界第2位の市場だ。日本で25周年を迎えたアドビシステムズの重要性はますます高まっている。
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