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業界人の《ことば》から 第274回

25年の節目を迎え、クラウド企業になったアドビ

2017年12月06日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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顧客情報を活用したデジタル体験の提供

 アドビは2017年3月に米ラスベガスで開催したAdobe Summitにおいて、Adobe Experience Cloudを発表し、Adobe Creative Cloud、Adobe Document Cloudとともに、3つのクラウドサービスを提供する体制を整えた。

 佐分利社長は「企業のデジタルトランスフォーメーションを支援するのがアドビの新たな役割。その中核になるのが、Adobe Experience Cloud」と位置づける。

 Adobe Experience Cloudは、Adobe Marketing CloudやAdobe Analytics Cloud、Adobe Advertising Cloudなど、8つのソリューションで構成される包括的なクラウドサービスだ。

 日本においては丸井がAdobe Experience Cloudを活用。パーソナライズ化した情報の提供を開始したのに加えて、店舗で試着をしてもらい、実際の商品は翌日や翌々日に届けるというリアル店舗の強みを生かした提案によって、eコマース専業に対抗する取り組みを開始している。

 さらに丸井ではアドビが新たに提供を開始した人材育成サービス「アドビデジタルマスターズワークショップ」により、デジタル人材を社内で育成。人材不足の解消に取り組もうとしている。

 イオン銀行では顧客の属性情報を活用して、ウェブや店舗を横断した形で、顧客一人ひとりにパーソナライズしたデジタル体験を提供。各地域ごとの店舗キャンペーンの告知などができるようになったという。すでに「イオンカードセレクト」の申し込み数が約1.5倍に増加したり、各商品のコンバージョン率が2~3倍向上したりといった結果が出ているという。

昔のアドビにいなかった人材が急速に増えている

 Adobe Experience Cloudはアドビのプロフェッショナルサービスの拡大にもつながっている。

 「海外ではプロフェッショナルサービスのほとんどがデリバリー領域のサービス提供やテクニカルコンサルティングが中心だが、日本では3~4割をビジネスコンサルティングの領域で占めている」とする。

 もともと、マーケティング業務をアウトソースする傾向が高い日本の企業では、社内にマーケティングに関するノウハウが蓄積されていないことが多く、それが日本固有のニーズを生んでいる。これも顧客体験の時代だからこその動きだといえよう。

 「デジタルマーケティング領域におけるプロフェッショナルサービスは、アドビにとっても新たなビジネス領域。それを強化するために、顧客の現場でインプリメンテーションしていた経験者やシステムイングレータの技術者などを採用して、新たな体制を整えている」という。

 現在アドビ日本法人の社員数は約400人だが、そのうち約3分の1がコンサルティングサービスを担当。さらに、その9割以上がAdobe Experience Cloudによるデジタルマーケティング領域を担っているという。

 「デジタルトランスフォーメーションを技術面だけでなく、アセスメントやビジネス戦略立案などのビジネス経営コンサルティングの観点からも支援できる体制を整えた。以前のアドビにはいなかった人材が、いま最も急速な勢いで増えており、これはますます加速することになる」とする。

マイクロソフトとの連携

 これまで課題だったCRMについても、マイクロソフトのDynamics 365との連携を発表。「Dynamics 365との組み合わせは、A match made in heaven(理想的な組み合わせ)だといえる」と自信をみせる。

 マイクロソフトのサティア・ナデラCEOと、アドビのシャンタヌ・ナラヤンCEOは、同じ高校の出身であることも「この連携が強固であることの要因のひとつ」と笑う。そういう佐分利社長も日本マイクロソフトの出身であり、同社とのつながりが強い。「日本マイクロソフトの平野拓也社長も、Dynamics 365を伸ばしたいという意識が強い。アドビもこの分野には投資をしていく。2社の連携によって、お客様にとって最もいい提案ができる」と語る。

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