当日もギリギリまで打ち合わせがつづく……!
そののあとは送迎の車で、リレーの集合会場である競技場へ。会場へ着くと多くの関係者などから歓迎を受けます。実は空港到着やホテル到着時にも同じような歓迎を受けており、「聖火ランナーを盛り上げよう」という空気に常に包まれていました。
最初はちょっと戸惑ってしまったのですが、だんだん慣れてくるとこちらもハイタッチで応えるなど、気分が盛り上がってきます。
会場ではオリンピック委員会の方から改めて説明を受けました。オリンピックの聖火のキャッチコピー「Let Everyone Shine」の説明を受けたり、聖火タッチの練習も再び実施。万全の状態で現地へ向かう準備を進めます。
ここで、改めてタッチの時に何をするかを前後の走者同士で決めるのですが、なかなか気の利いたポーズは思い浮かばないものですね。「ハイタッチしよう」そう決めるのが精いっぱいでした。
競技場での説明や待機時間は1時間くらいあったものの、気が付けば出発時間。走る場所まで送迎してくれるバスに乗りますが、ここでも声援に送られて乗り込みます。
車内に入ればみなユニフォーム姿。再び緊張感が高まってきます。「もう後には戻れない、自分の走りを見せるだけだ」と意気込むものの、いまからやることはやったことのないこと。何をどうしたらいいかわからぬまま、バスは出発してしまいました。
走行する場所までは30分ほどだったかと思います。ところが、途中で「時間が早い」とのことで駐車場に入り小休止。
しばらくするとランナーと一緒に走るスポンサーのバスもやってきました。サムスン、KT、コカ・コーラのコーポレートカラーをまとったバスで、スピーカーから音楽を流しながらノリノリでライナーや観客を沸かせてくれます。
ここでの休憩は20分くらいだったでしょうか。せっかく同じルートを走るってことで全員で自己紹介。もちろん我々には通訳がいましたので、ほかの韓国のランナーさんの話を翻訳してもらい、自分たちの日本語も韓国語に通訳してもらいました。
前のオリンピックでも走った人、兄弟が申し込んでくれて当選した人、中学生などいろいろなメンバーがいます。ここでいったん自己紹介することで不思議と一体感が生まれましたが、「ではバスが出発します」と言われ動き出すと、再び得体のしれない不安感に包まれます。
「自分が主役」、直前は心拍数も100近くに
しばらく走ると、ひとり一人が降ろされていきます。降りるや否や集まってきたお客さんたちから声援を受けたり記念写真を求められるのがいい気分のようです。
「自分が主役」そう頭を切り替えればいいのですが、とにかく過去に経験したことがない雰囲気の中に飲み込まれていきます。「そうだ、バスを降りる前にここで心拍数を図ろう」と自分のスマートフォンで計測してみました。心拍数は95、やはりかなり緊張しています。
なお、持ち物ですがユニフォームのポケットに入るものはオーケー。しかし、バスから外に出たら一切出してはいけません。道路での待機中にスマートフォンやカメラを出すことはできないのです。
そして、自分の番がやってきました。バスを降りるとスタッフがいますが、すぐにお客さんが集まってきます。「記念撮影お願いします」との声に笑顔で応えていると、眼の前をスポンサーのバスが3台立て続けに通っていきます。
それに手を振りつつ準備をしていると、遠くから前の走者の方が走ってきます。「あれ、心の準備が出来ていないぞ」と考えているヒマもなく、「道路に出てきてください」とスタッフに誘導されます。そして聖火を受け、ハイタッチをしてから周りに挨拶。大歓声を受けながら自分の聖火ランが開始となります。
走り出すと、眼の前にはビデオを積んだ車が前走しています。普通に走ると近づいてしまうくらい遅く、歩いても大丈夫なほどでした。沿道の人たちに手を振ったりしつつ走るものの、常に見られているためなんだか照れてしまいます。
また、手袋をして聖火のトーチを持っているのですが、滑りやすくしっかり握らないと落としてしまいそうです。なので、神経の半分くらいはトーチを握る手に集中してしまいました。
走りながら「まだかな」と思いつつも「もっと走りたいなあ」なんて思い始めたころ、次の走者が見えてきます。「ああ、終わったんだなあ」とほっとしたのもつかの間、自分が聖火を受けたときと同様に今度は聖火を点け渡し、周りへとあいさつ。
そして、それが終わるとあとからやってきた迎えのバスに乗り込みます。座席に座るとどっと疲れが出てきましたが、なんとも言えない満足感でした。
叶うならば2020年・東京では万全の状態で臨みたい
これでようやく完了。あとは集合場所に戻り、証明書を受領して長い1日が終わりました。なかなかできない体験なのでデジタルを絡めた記録を取りたかったものの、結局心拍数を数回計測したにとどまってしまいました。次に走る機会は恐らくないでしょうが、次回はもっと万全の状態で臨みたいと思います。
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