リンクアグリゲーションやVLANの設定がとても簡単、「NETGEAR Insight」実機レビュー
スイッチのVLAN設定をスマホアプリの「Insight」だけでやってみる
2017年11月30日 08時00分更新
ReadyNASとの間でリンクアグリゲーション(LAG)を設定する
それではまず、リンクアグリゲーション(LAG)の設定から試してみよう。
リンクアグリゲーションは、スイッチとスイッチや、スイッチとデバイスを複数本のケーブルで接続し、それを仮想的に“束ねて”1本のケーブルのように扱うことで耐障害性を高め、同時にトラフィック負荷を分散する技術だ。どれか1つのリンクに障害(ケーブルの断線やポートの故障)が起きても、残りのリンクで接続を維持できる。また、平常時には複数のリンクを使ってトラフィック負荷を分散する。
今回、筆者がネットギアから借りているのはGC510PPスイッチ1台だが、以前から借りているReadyNAS(ReadyNAS 628X)も手元にある。ReadyNAS 628Xは10Gポート×2、1Gポート×2を備え、リンクアグリゲーションにも対応しているので、これを使って設定を試してみよう。実は、ReadyNASのレビュー記事でいつかは試してみたいと思いつつ、「スイッチの設定が面倒くさそう」という理由で試していなかったのだ。
まずはInsightアプリでスイッチ側の設定を行う。前出のWired Settings画面で「LAG」をタップすると、「ADD NEW LAG」ボタンのある画面が表示される。読んで字のごとし、このボタン、または画面右上の「+」をタップし、作成対象のデバイスを選択して「NEXT」をタップすれば、新しいリンクアグリゲーションの作成画面(Create New LAG)が表示される。
ReadyNASのリンクアグリゲーションには幾つかの方式が用意されているが、今回は標準プロトコルであるIEEE 802.3ad LACPを使う。この画面では「Static LAG」の設定をオフにしたうえで、LAGの名前(今回は「ReadyNASLAG」とした)を入力し、さらにリンクアグリゲーション機能を有効にするスイッチのポート(今回は「ASCII SWTICH」のポート7、8)を選択する。「SAVE」をタップして、スイッチ側の設定は完了だ。
なお今回はスイッチ1台だけの環境だが、複数台のInsightスイッチがある場合は、この画面上に複数台のスイッチ/ポートが表示され、まとめて設定できる。リンクアグリゲーションはスイッチどうしをつなぐ際に利用されるケースも多いので、1台ずつではなくこのように「ネットワーク単位で」まとめて設定ができるのは便利だろう。
続いてReadyNAS側の設定だ。管理者ページの「ネットワーク」タブ>「リンク」の画面で、リンクアグリゲーションの対象とするポート(ネットワークインタフェース)を1つ選び、設定アイコン(歯車アイコン)をクリックして「新しいチーミング」を選択する。
設定画面がポップアップするので、組み合わせるポートにチェックを入れたうえで、「チーミングモード」でIEEE 802.3ad LACPを選択する。今回は、10Gポート2つ(eth2とeth3)を使うことにした。なおその下の「Hashタイプ」は、IEEE 802.3ad LACPが通信を複数リンクに分散させる際の分散手法を選択するものだ。詳しくは説明しないが、今回は分散度合いが高まるように「レイヤー3+4」を選択した。
設定が終わると、「リンク」画面には2つのポート名の代わりに「bond0」というデバイス名が表示された。これは2つのポートをまとめた仮想ポートの名前だ。これでReadyNAS側の設定も完了した。
あとは、リンクアグリゲーションを有効にしたポートどうしを2本のケーブルで接続すれば、ふつうに通信が始まるはずだ。
設定後、スイッチに接続したクライアントPCからReadyNASに大容量ファイルを転送しながら観察してみると、ReadyNASを接続した2つのスイッチポートのアクセスランプが、同時ではなくばらばらのタイミングで点滅している。これは、2つのポート(リンク)にトラフィックが負荷分散されていることを示している。しっかり負荷分散されれば、多数のクライアントPCがReadyNASに同時アクセスするような環境でも転送速度が落ちにくくなるはずだ。また、ファイルを転送しながら片方のケーブルを抜いてみても、転送が止まることはなかった。つまり、ケーブルやポートの障害にも強くなったわけだ。
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