パッケージ内容でもELEARと差別化
ケーブルに関しては3種類を同梱。4ピンXLRのバランス駆動用ケーブルも用意する。ノイトリック製の端子などが付いた他社製品を買ってくるのではなく自社生産している。ケーブルは単体で買うと意外に高価になるので、お買い得と言える。キャリングケースも新規で起こした。内部が4分割されているため、3本のケーブルに加え、オーディオプレーヤーやUSBメモリーなども一緒に持ち運べるという。従来機種の収納も可能だ。
発表会に登壇したライターの岩井喬氏は「聴いた印象としては、UTOPIAは反応の良さもあり、高域から低域までレスポンスがいいニュートラルサウンド。CLEARは落ち着きがあってしっとりと聞かせ、低域もいい。ELEARは自然な味わい感がある」と各モデルの違いを述べた。
イヤーパッドの素材に関しては、ELEARと同じベロア素材だが、UTOPIAのレザーイヤーパッドのように小さな穴を多数空けて、内部の響きを吸い取る構造としている。
素材に対する執拗なこだわりが、技術志向の会社らしさ
FOCALは、ジャック・マユール氏によって1979年に設立。本社と工場をリヨン近くのサン=テティエンヌに構える。またブルボン=ランシーに新キャビネット工場を作ったところだ。スピーカーでは、20万円で買えるエントリー製品から、ペア2000万超の最上位スピーカー「Grande Utopia EM」まで幅広いラインアップを擁している。自社でユニットを設計し、フランス国内の工場でほぼ手作りに近い工程を経て製造するMADE IN FRANCEにこだわったメーカーでもある。
技術志向のブランドだが、特に振動板素材の選択に関してはこだわりを見せる。代表的なのはスピーカー/ヘッドフォンとも最上位機が使用するベリリウム素材。高剛性、軽量性、高減衰性(ダンピング性能)の3点を重視しているが、それぞれ歪みの少なさ、音の立ち上がりの速さや微細な信号の再現性、カラレーションの少なさなどに影響する部分となる。
ちなみに余談となるが、UTOPIAの振動板は蒸着処理ではなく、22.5μmの薄さのベリリウム板を自社工場でプレス加工するピュアベリリウム素材となっている。限られたスタッフだけが入れる場所で秘密裏に作業するとのことで、製造技術の面でもコスト面でも極めて手の込んだ内容である。
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