中野サンプラザで開催中の「秋のヘッドフォン祭2017」では、音響機器メーカーORBによるケーブル制作の実演が行なわれていた。
手さばき華麗すぎ、半田付け綺麗すぎ
アンプやDAC、ケーブルや電源を主力商品とする同社は、高級イヤフォン用のリケーブルも数多く製造している。同イベントではリケーブルのフラッグシップとなる「Clear force Ultimateシリーズ」の体験ブースも設けていた。
そんなブースのかたわらで黙々と半田付けをしていたのは、ORBのチーフマイスターである澤田千賀子さん。
ORBのウェブサイト中「Clear force Ultimate Custom IEM 2pin」のページには、このような記述がある。
「Clear force Ultimate Custom IEM 2pin」は、ORBのマイスタークラフトマンにより1本ずつ丁寧に製作を行うのはもちろん、ケーブルの導体に高音質で知られるPC-Triple Cを使用したORBオリジナルケーブル「PT4」、ボディにORBオリジナルメッキを施したトープラ販売社製国産純銅プラグ「CINQBES(サンクベス)」など厳選しました。
この「マイスタークラフトマン」こそ澤田千賀子さんである。同社でもチーフマイスターの肩書きを持つ社員は澤田千賀子さんを含め2名。2名体制で日々リケーブルを製造しているという。
非常に物腰は柔らかい方だが、手さばきは華麗そのもの。眺めているあいだに、次々と半田付けをこなしていた。疑問に思い、日常的な業務内容をたずねてみると「本当に、一日中半田付けをしているんですよ」とのこと。ケーブルの種類によっても手間が変わるため、一概には言えないそうだが、平均すると、一日20本程度のケーブルを制作するという。
あまりにも綺麗に半田付けをするため、長年の経験があるのかと思うと「入社して初めて半田付けをした」という。ちなみに、入社5年ほどで、チーフマイスターの肩書きとなってからは2年ほどという。
手作りを徹底しているため、リケーブルの出荷も限られているが、ヘッドフォン人気もあり、注文は殺到。オーダーが2ヶ月待ちになることもある。
日々目にしている製品が、クラフトマンの地道な作業によって形作られていることを垣間見た瞬間だった。

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