ZTEは10月17日にニューヨークで新製品発表会を開催し、横開き型の折り畳み端末「AXON M」を発表しました。発表会ではドコモの名前が出てくるなど、日本市場への投入も明言されました。久しぶりに登場する2画面端末をZTEはどのように市場へ投入するのでしょうか? ZTEのモバイルデバイス部門CEO リシン・チェン氏にインタビューを行ないました。
まずは今回、2画面スマートフォンという珍しい製品を投入した意義を聞きました。AXON Mの発表会でドコモのiモードを引き合いに出したのは「ZTEがグローバルにモバイルの革命を提供する企業であることをアピールするため」とのこと。そして「人々は新しいイノベーションを持った製品を探しており、それに応える製品が今回のAXON Mなのです」と話しました。
スマートフォンの使い方は多様化していますが、2つの端末を併用する人が増えているとのこと。また、より大きい画面を求めるユーザーも増えています。しかし、2つの端末を持ち運ぶのはもちろん、スマートフォンに加えタブレットを買い足すのも金銭的に余裕がなかえれば厳しいでしょう。
AXON Mならば、閉じた状態はスマートフォンでありながらも、開いて2画面を別々に使えば2つのスマートフォンとして働き、さらに2画面を1画面化して使えばタブレット感覚で大画面を使うことができるのです。
次にAXON Mのターゲット層はどんなユーザーを想定しているのかを聞きました。発表会会場にはアメリカAT&T向けのAXON Mが展示されていましたが、AT&Tがモバイル向けにも提供しているIPTV「ディレクTV」をより楽しく視聴できるように、片面でTV、もう片面でSNSの画面を出しタイムラインに番組の感想を書き込むデモが行なわれていました。
チェンCEOによると「AXON Mのターゲット層として3つを考えている」とのこと。まずは若いプロユーザー。この「プロ」とは、仕事や私生活が充実し日々忙しい毎日を送っているユーザー層です。AXON Mがあればスマートフォンを使って仕事の生産性を高めることができるというわけです。
もう1つのターゲットはゲームやSNSを楽しむ「ファン・セクター」と呼ばれる層です。常にSNSを使ったコミュニケーションが手放せず、時間があればスマートフォンをゲーム機として使っているユーザーになります。AXON Mの2つの画面はゲームとSNSそれぞれに使い分けることができますし、ゲームをプレーしながらその内容をSNSで流すことも簡単です。さらには2画面を1つの大画面にすれば迫力あるゲームプレーが可能になるでしょう。
そして最後は意外なことに、家庭と仕事を両立させている女性とのこと。仕事はもちろん、自宅に戻れば家事や子育てなど忙しい1日を送る女性たちにとって、AXON Mの2つの画面は複数の作業を同時に行なうことができるわけです。
このように、AXON Mはギミックありきで開発されたのではなく、2つの画面を活用するターゲット層を想定して製品化された端末なのです。また2画面端末という新しいカテゴリーの製品であることから、アプリの開発者支援も行なっていくとのこと。会場には2画面を使い、2人で対戦できるチェスゲームが展示されていましたが。今後このようなアプリが次々と登場する予定です。
ところでZTEのフラッグシップモデルと言えば、昨年発売された「AXON 7」が思い浮かびます。2017年はこのAXON Mがフラッグシップモデルとなるのでしょうか? チェンCEOは「ZTEの端末開発はABC戦略をとっている」と言います。AはAXON、BはBlade、そしてそれ以外の製品と3つのラインで製品ラインナップを構築しています。
このうちAXONはフラッグシップラインの製品ですが、今回のAXON Mは新しいカテゴリーを生み出す製品とのこと。「当然フラッグシップモデルも考えている」とのことで、今後AXON 7の後継機が出てくる可能性はありそうです。
なお、AXON Mは1台で「片手で持てるスリムなスマートフォン」「大画面タブレット」を両立した製品です。AXON 7は小型でコンパクトサイズのAXON 7 miniを出しましたが、AXON Mはこれより小さいモデルを作ることは考えていないとのこと。
発表会に訪れた世界中のジャーナリストからの反応は「非常によく、ポジティブな反応を得ている。スマートフォンの利用者が今、何を欲しがっているのか、その要求を満たす製品にAXON Mは仕上がっているからだろう」とチェンCEOは手ごたえを感じています。
AXON Mは日本でも販売されるため、日本人に適した2画面アプリが登場するかもしれません。2つの画面をどのように使いこなすか、それを考えるだけでもワクワクできる魅力がAXON Mには詰まっています。